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静かに時が過ぎるのを待っても、一向に本から目を離そうともしないテヒョン様。2杯目の紅茶に口をつけるなり、またページを捲る。
ポットで丁寧に蒸らした茶葉を懐中時計で管理しつつ黙って斜め後ろで控えるにも、このままではソクジン様からの仰せつかったあの言葉を果たせそうに無い。
朝食時からもう1時間が経とうとしている。
埒が明かないなと伏せた目だったが、数回部屋の掃除で出入りしたメイドの内で最も役職の高いメイドから、こっそりと掌に押し付けられた紙切れを確認した。
失礼致しますと仰々しく頭を垂れた後、私と一瞬だけ目を合わせるなりさっさとシーツを持って退室してしまった。
スケジュール帳を開きつつその上に隠すように開いた紙には、見慣れた字が綺麗に書かれている。
"スビナを向かわせる。合図に執務室へ"
3度の軽やかなノックに主の返事が返り、正しくスビンが入室した。
「A様、業務内容についての変更とご報告で執事長がお待ちです。テヒョン様、数時間代わりに私がつかせて頂きます」
「...業務内容、ね」
『嗚呼...行商人の件でしょうか。少し外します、スビナ、頼みます』
「はい」
咄嗟に取り繕った嘘も強ち間違いではない。数日後に訪れる行商人について、今朝本当に変更内容を知らされたのだから。
変わらず本から目も離さず足を組み直されたお姿に一礼し、スビナに目をやってから部屋を出た。漸く肩の力を抜けたが、痛むな。
1度大きく息を吐きながら向かうのは勿論執事長の元では無い。1つ上の階に位置する執務室の前に居る衛兵が声をかけるなり、入れと通された中に居るのは当然ソクジン様と、補佐としてそのお傍で支えられている第2王子のユンギ様だ。
「ごめんね、呼び出して。テヒョンは大丈夫そうだった？」
『いえ...薄々勘づかれては、いるかと』
「彼奴は変に鋭いとこがあるからな...座れ、兎に角」
『ありがとうございます、失礼致します』
お二人がソファに座られたのを見てから、静かに背を正して座る。
ふう、と溜息を零して笑ったソクジン様が、1枚の紙を寄越した。目を通すまでもなく書かれているのは、テヒョン様宛の交際申し込み。
嗚呼成程。
「Aは賢くて助かるよ本当.....恐らくこれのせいなんだよね」
「という訳でまあ...正式に、調査を頼めるかな」
『＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿仰せのままに』
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▲たると▽(プロフ) - 茜さん» 長い間ご返信遅くなってすみません！ありがとうございます！励みになります！ (4月20日 1時) (
レス) id: 4ea375d9d8 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 設定からもう最高に面白いです！描写が丁寧で情景が浮かびやすくてすごいです！続き楽しみにしています💕 (11月23日 0時) (レス) id: 1a56d20f1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：▲たると▽
| 作成日時：2023年10月31日 0時
