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まだ食器を洗っていたキッチンのメンバーにお疲れ様です、と察したように苦笑いされながら、1人で黙々と焦がしてしまったフィナンシェの表面をナイフで削った。
温めなおしながら蜂蜜を入れたココアを用意して、全てカートに乗せきって廊下を歩いていると、執務室帰りのジミン様と付き人のテヒョンにばったり会った。
『こんばんは、ご無事のご帰還、何よりです』
「うん、ありがとう。Aはまだテヒョンと起きてるの？」
『はい、今からフィナンシェをお持ちする所で。恐らく食べ終えられたら眠られるかと...』
「そっか。1個ちょうだいって言いたい所だけど、バレたら怖いからまた焼いてくれる？Aの作るお菓子、美味しいから」
『勿体ないお言葉です。是非。では、おやすみなさいませ』
「うん、おやすみ〜.....あ、」
1歩踏み出した足のまま、少し考える素振りで上の方を見ながら、口元を真っ白なグローブで覆われた手で隠した。
テヒョンも不思議そうにしながら、此方をちらりと見ている。
うーん、と考えて、やがてその優しげな目が此方を捉える。
「今日は出来るだけ、いっぱい名前呼んであげて？」
デジャブ、というかなんと言うか。
『先程テヒョン様から、名前を呼ぶようにと言われて呼んだばかりです』
苦笑しながら伝えるなり、吹き出してお腹を抱えられた。
コケてしまわれそうなほど笑うから、テヒョンが後ろから少し支えている。ジミン様は大笑いされると良くふらつくから。
「ごめ、笑はー、うん、そっかぁ。けどまあ多分.....相当キてるから。もうちょっと呼んであげてくれたら、明日楽かも」
『はい、努めます』
「ありがと。ごめんね引き止めて。お休み〜」
『お休みなさいませ』
ぺこりと一礼してテヒョンも一緒に去っていくのを暫し見送って、自分も急がねばと廊下の奥へと急いだ。
3度のノックで入室を許可する声が掛かり、失礼しますと入る。
変わらずソファに座っているテヒョン様の手には、先程までは無かった数枚の紙。報告書でも誰か届けに来たのだろうか。
さっきのジミン様かもしれない。
ソファ横の小さなテーブルに湯気の立つココアをたっぷりと注いだカップとまだ温かなフィナンシェの乗った陶器を置けば、その書類はすぐに膝上へと放り出されてしまう。
「ん.....美味しい。流石だね」
『ありがとうございます、テヒョン様』
小さく笑みを零すのを見て、もう少し名前を呼ぶか、なんて。
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▲たると▽(プロフ) - 茜さん» 長い間ご返信遅くなってすみません！ありがとうございます！励みになります！ (4月20日 1時) (
レス) id: 4ea375d9d8 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 設定からもう最高に面白いです！描写が丁寧で情景が浮かびやすくてすごいです！続き楽しみにしています💕 (11月23日 0時) (レス) id: 1a56d20f1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：▲たると▽
| 作成日時：2023年10月31日 0時
