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まだひっそりと静かな城内の廊下で小さく吐き出した溜息。
朝日が登りきるより少し前に、いつもの様に訓練所で一通りの狙撃や体術を含めた体づくりをこなして、主を起こしに向かう。
腰からチェーンで繋がれた懐中時計は1秒の狂いすら無く、時刻は7時半を過ぎたばかり。
あと約30分の間に、これまた普段通りミーティングが行われる。
ノックして入った部屋は専属使用人7名が毎朝揃う部屋。歴代の専属使用人が置いていった資料やらで本棚がぎっしりと詰まっただけの、椅子もなければ机も無い部屋だ。
2人ほど欠伸を零しつつ、ソクジン様の専属に当たる執事長がすらすらと日程を言いあげ、それぞれに個人の連絡事項を伝える。主のスケジュール管理は全て個々で行う為、城内を出るだとか何時に誰が何をするかはその専属人から伝えられるのだが、何せ情報量が多い。
よって、自分の仕えている主を除く6名分のスケジュールは毎朝当日に伝えるようにしているらしい。
今日もびっしりと字で埋められたスケジュール帳を懐にしまい込んで、一礼の後に部屋を出る。
上へ昇る為の機械もあるが、何せ元は暗殺を本業としていた為に体力を考え3階分の階段を登り、1番奥まった部屋の扉をノックした。
当然今日も返って来ない返事。
失礼致します、と声をかけて入った部屋には、あちこちに飾られた風景写真と数十冊の分厚い本が入った本棚。それから莫大な量の衣類が入ったクローゼット。その他諸々。
天蓋付きのベッドですやすやと朝日に照らされて尚眠る姿はさながら彫刻だが、起きてしまえばそうも思えなくなる。
城下町でも他国のお姫様方からも絶賛される造形美が、私にとっては今や脅迫概念の1種というか、夢にまで出ると言うか。
...その顔であれだけの悪言ともなれば愛嬌どころでは無い。
そこがいいと目をハートにさせる女性方はいつ何時でも共にいなければならない状況に陥った事が無いから言えるのだと声を大にして言いたい。出来るなら今からでも主を変えたいものだ。
無意識に零れそうだった情けない溜息は慌てて飲み込み、バルコニーに繋がる窓を全開にカーテンを開け放つ。
『おはようございます、主』
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寄せられた眉に、煩わしげに開けられた瞳。
ただでさえ低い声が、寝起きともなると更に低い。まあ毎朝1言目はほぼ変わらないが。
「......A、起こして」
(仰せのままに)
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▲たると▽(プロフ) - 茜さん» 長い間ご返信遅くなってすみません！ありがとうございます！励みになります！ (4月20日 1時) (
レス) id: 4ea375d9d8 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 設定からもう最高に面白いです！描写が丁寧で情景が浮かびやすくてすごいです！続き楽しみにしています💕 (11月23日 0時) (レス) id: 1a56d20f1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：▲たると▽
| 作成日時：2023年10月31日 0時
