夢の小人16 ページ16
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グガはその日目を覚ますことは無くて、俺たちは宿舎に帰された。
入るや否や急いでグガの部屋の扉を開いても、その子は居ない。俺の部屋にも、キッチンにも、窓際だって全て探しても見当たらない。
もう夕暮れの、夕飯前の時間なのに。
嫌に冴えた頭はどうするべきかを知っているように、取り出したスマホはある連絡先をタップして、何度目かのコール音が繋がった。
"ヨボセヨ？"
「っぁ、ヨボセヨ、お久しぶりです」
「ジョングガの、お母さん」
"ジョングガの事なら聞いてるよ。あの子、すぐ無茶を"
「違うんです！」
指先がどんどん体温を失っていく。まるで全身から血の気が引くようで。パンドラの箱を開ける時は、こんな気分なのだろうか。
もう心が折れそうなんだ。
でも、折れちゃいけないこともわかってるんだよ。
「あの、どう言っていいか分からないんですけど、その...ッ、」
拙い言葉を待ってくれる電話越しの声は優しくて、いつも俺たちを気遣ってくれる暖かさと朗らかな雰囲気を感じさせてくれる。
震えそうになる声で、握りしめた拳が痛む程に力の入った身体で、半ば吐き出すように言葉が飛び出た。
「っAちゃんって、知りませんか？」
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それはきっと肯定の沈黙で、何秒の間そうしていたのかわからない。
でも、グガに聞いたの？という声は酷くか細くて、頼りなかった。
「いえ...あの、グガと病室が、近くて」
"あの子は会った？"
「アニ、目が覚めてないので、まだ」
"...Aちゃんは、元気そうだった？"
その言葉に脳内で、眠ったまま力の一切を持たない身体を動かされていたあの子の姿が再生される。
あの時看護師さんは、寂しそうに知り合いならと教えてくれた。
でも、それは遥かに俺たちじゃどうしようも無いことで。
そしてそれをきっと、お母さんもわかってる。
"何となくはわかるの。だから、教えて欲しい"
"あの子は...Aちゃんは起きてる？"
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「＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿もう、長くないそうです」
「あと数週間の内に、生命維持装置を外すと、Aちゃんのご両親が病院と決めたって」
耐えきれずに零れた涙を必死に拭って、お母さん、と呼び掛ける。
向こう側で震える吐息が、全てを物語っていた。
「教えて下さい。全部」
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▲たると▽(プロフ) - ハクさん» ありがとうございます！！ずっと温めていたお話なので、まったりお楽しみください(* ´ ` *) (2021年4月5日 22時) (
レス) id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - ジョングク氏、キター！！！すでに面白くて、楽しみです♪( ´▽｀) (2021年4月5日 22時) (レス) id: 7793550341 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：▲たると▽
| 作成日時：2021年4月5日 19時
