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増える足音の怪 其の漆 ページ17

見据える 何者かも分からない幾多の目

その目は全て生きている者の目ではない

その目が、恐怖が、体を支配し、脳を麻痺させる

そう後ずざろうとするも、足が動かない

よく見れば寧々の影と深淵の影が一体化し、体が規制されていたのだ

一歩、また一歩と寧々の足は深淵へと向かう

「や…やだ…っ!」

寧々本人の意志と反し、体は歩みをやめない

影が自分に手を伸ばす

「やだっ…!花子くん…助けて…っ!!!」

とうとう影が寧々に届いた




その刹那




「白杖代!!!」





キィィィン!!



影が一瞬揺らぎ、影がその身を引いた

寧々の前には、いつも彼のそばにいる白杖代

そして

「ヤシロ!大丈夫!?」

「寧々さん!」

次こそ本当の声 本物の友達の声

寧々は振り向き、泣きそうな顔でその体に身を預けようとした


だが


「きゃっ…!」

「ヤシロ!」

バランスを崩し、寧々に手を伸ばした花子の手を寧々は引っ張り、自分に引き寄せた

影は繋がったまま

体が勝手に花子を攻撃した

寧々の体は花子を突き飛ばし、その手に影で作られた包丁を握りしめる

花子は目を見開き、脳が理解に追い付いていないのか何も抵抗しない

「い…いやっ…!やめて…!」


刺したくない


そう思うのに体が言う事を聞かない



そうしているうちに包丁を握りしめた腕を花子に突き刺すために振り上げた_____



「寧々さん!やめてください!」

振り上げた腕を、一緒にいた太郎が止めた

その声はどこか泣きそうな声

「大丈夫ですか!?今どうにかしますから気をしっかり!」

「た、太郎さん…っ」

精一杯に太郎は寧々の腕を抑えている

黒紫に光るその目は深い深いアメジストの光

その目が光り輝き、涙が寧々に落ちた




その瞬間




『ギャッァァ!!!』

波紋の様に静かな光がヤシロと花子、太郎をつつみ、影を遮断した

その光は影を退き、結界を張った

寧々の体は影から離れ、包丁も消えた

「あ…わわっ…!」

「ヤシロっ、大丈夫?」

バランスの崩しかけた寧々を、花子が支える

「…太郎…きみは…」

何かを思うその目は太郎に向けられ、当の本人はどうしてかわからないように狼狽している

そんな中でも、結界は花子達を影から隔離し、寄せ付けない

花子が触ろうとすると、一瞬静電気が走るのみで害はないようだった

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白夜の幻想者 - あいうえおさん» あ、そうでしたね…!ご指摘ありがとうございます…! (2019年4月7日 14時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 花子くんはヤコさんのこと「二番」って言っていたような気がします (2019年4月7日 0時) (レス) id: 297e0956e6 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の幻想者 - 透空さん» えと、ごめんなさい…いろいろあって一個だけしか更新できなかったです…今はどうにか一段落したのでそちらも続けられます…! (2019年3月4日 7時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
透空(プロフ) - ごめんなさい、突然…。合作のことなのですが、続けられますか?私はどちらでも良いので白夜さんが決めて頂ければと思いまして…。少し考えて頂けたら嬉しいです。 (2019年3月2日 13時) (レス) id: 3bf9f61dac (このIDを非表示/違反報告)
白夜の幻想者 - 最近ネタが浮かばないこの頃です。更新が全然進まず申し訳ありません! (2019年2月16日 11時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白夜の幻想者 | 作者ホームページ: ないよー  
作成日時:2018年9月25日 22時

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