advance billing ページ37
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鮮やかな色が、遮光カーテンの隙間から朝が来たことを告げる。と、言っても霧が覆うこの街の朝日は微々たるものではあるが。
その日、男は珍しく愛する妻よりも早く起き、洗面台の鏡の前で自分の顔、特に虹彩の色をぼんやりと見つめていた。
男、スティーブンは先日の戦闘により瀕死の淵に立たされ、異界人の妻の力によって回復した。回復した、というよりは、セイレーンの血で超次元で身体を結ばれた、の方が正しいかもしれない。氷使いのステータスに異常な回復力が付与されたのだ。傷を負ったそばから塞がるそれは、一般人からしたら大層都合良く思われただろう。
しかし、スティーブンは血を媒介にした攻撃を主とする立場だ。血が使えなければ話にならない。退院した日からスティーブンは塞がる前に血凍道を発動させるリハビリを余儀なくされた。
そのため、彼は現在もリハビリ中である。
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朝のストレッチを終えて、スティーブンは自室を後にする。
品の良い腕時計は午前9時を告げていた。朝食の時間に間に合わないと妻の尾ビレによるビンタが飛んでくるのだ。アレはかなり痛かった為、もう二度くらいたくはない。
長い廊下を歩いて、リビングルームの扉を開ける。
ふと、様子が違うことに気が付いた。
いつものように紅茶の香りがしないのだ。
家具が濡れないようにと妻が着けている手袋だって、昨日の夜と同じ場所に置かれていた。
まだ起きていないのだろうか。
パタパタとスリッパを鳴らしてAの自室へと向かう。途中の、彼女が世話をしている花にも水は与えられていなかった。
「まだ寝てるのかい？」
扉を開け、彼女専用のプールを見て、スティーブンは絶句した。
白い体は水の底に沈み、顔には生気が感じられず、呼吸の為のエラが閉じかけている。
コポコポ申し訳程度に出される気泡は、Aの意識がはっきりしていない事を顕著に示していた。
「A!!!!!」
大きな水飛沫を上げて、スティーブンが飛び込んだ。できる限り不自由の無いように、と設計されたプールはかなり深い。
やっとの事で底に到達し、ぐったりとした彼女を抱き上げようとして、思わずスティーブンの体は硬直した。
それは当然の反応である。
彼の眼前には、まるで人間のように大きく裂けた尾ひれが揺蕩っていたのだから。
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9t9 - 血界戦線大好きのスティーブン推しで貴方の作品を見つけました。本当にこの作品が大好きです！ツェッドさんとか出てきたら絡みがどうなるのかとかも楽しみだし単純にこの先の物語が楽しみでなりません！！更新が止まっていらっしゃるようですがずっと待ってます！ (2022年10月19日 16時) (
レス) @page38 id: f8f6fc2c71 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃぼ(プロフ) - いつまでもお待ちしております...！！！ (2021年8月28日 1時) (レス) id: 4c0d27bb14 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 初コメ失礼します。一人称は使い分ける方が良いと思います。ちょっとしたことですがこれだけで表現の幅がだいぶ違うと思うからです (2017年10月30日 19時) (レス) id: 5884d91fd1 (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - メヌエットさん» コメントありがとうございます。面白いと感じて頂けて嬉しいです！ (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - nana☆さん» アンケート回答ありがとうございます！更新頑張りますね。 (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Rin | 作成日時：2017年10月23日 8時
