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スティーブンとAは車に乗り込むと、Aは写真と名前が載った分厚い書類を渡された。

「レディ、この名簿の奴等の記憶を探れるか?」

「え、本気で言ってるの、傷男。ざっと見ただけで160人はいるじゃない。頭がパンクしちゃうわ。」

「君なら出来るさ、ヤバくなったら、その都度俺に記憶を移したらいいだろう。」

「馬鹿言わないで、私はヒューマーの記憶容量を超えてるから言ってるのよ。馬鹿なの。」

「へえ、君は俺の事を心配してくれててるのかい。」

「うるさいわよ、傷男。口を閉じる練習でもしたらどうなの。」

そう言ってAはそっぽを向く。
だが、肝心の耳が隠れていない。彼女は照れると耳が赤くなるのだ。

「世間では、君の態度を “ツンデレ”と言うそうだが、知っているかい?」

スティーブンは身を乗り出し、彼女の耳にキスを落とすと、平手打ちが飛んできた。

「今は仕事中よ、傷男。公私混同は許されないわ。」

さっきの可愛らしい態度から一転、まるでK.Kがスティーブンに向ける凍えるような視線が突き刺さる。公私混同を何よりも嫌う彼女の逆鱗に触れてしまったのだ。
「ごめん、A...。」
「私の名前を呼ばないで、貴方の顔の傷、増やすわよ。」
彼女の周りが騒ぎ、目を凝らさないと見えない程に細い水がピアノ糸のように張り巡らせる。以前スティーブンが初めて見た彼女の戦闘シーンで、容赦無くヒューマーの首をはねた糸である。
まだ血の繋がりを持たないスティーブンは、怪我をしても治癒する事は無い。彼女との戦闘は極力避けるのが得策である、と最近学んだ事だ。

「...レディ、すまなかった。仕事に戻ろう。」

頰にクッキリと紅葉型を作ったスティーブンは、冷や汗をかきながらハンドルを握った。

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9t9 - 血界戦線大好きのスティーブン推しで貴方の作品を見つけました。本当にこの作品が大好きです!ツェッドさんとか出てきたら絡みがどうなるのかとかも楽しみだし単純にこの先の物語が楽しみでなりません!!更新が止まっていらっしゃるようですがずっと待ってます! (2022年10月19日 16時) (レス) @page38 id: f8f6fc2c71 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃぼ(プロフ) - いつまでもお待ちしております...!!! (2021年8月28日 1時) (レス) id: 4c0d27bb14 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 初コメ失礼します。一人称は使い分ける方が良いと思います。ちょっとしたことですがこれだけで表現の幅がだいぶ違うと思うからです (2017年10月30日 19時) (レス) id: 5884d91fd1 (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - メヌエットさん» コメントありがとうございます。面白いと感じて頂けて嬉しいです! (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - nana☆さん» アンケート回答ありがとうございます!更新頑張りますね。 (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rin | 作成日時:2017年10月23日 8時

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