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「スティーブン先生、スクランブルエッグだけで料理上手なら、世界中の誰もが三ツ星シェフよ。ところで、どうやったらあんな劇物が作れるのよ。」
「失礼だな。茶葉に湯を入れただけさ...」
茶葉に湯を入れただけ、園児でもできる事淹れ方で、こんな形容し難い味になるのか。
K.Kが不思議そうにするスティーブンを見て、つい溜息が出た。
カチャ、ギルベルトがとィーポットの蓋を開けて紅茶(色の劇物)の香りを嗅ぐ。
「...スパイスの香りが致します。カルダモンとナツメグ....微かにクローブ。」
その後も指折りに次から次へと名前が上がっていくスパイスの量に、スティーブンを除く全ての口が開いたまま塞がらない。
「レモンバーベナ、ディル....。合計で29種のスパイスが入っていますね。」
むしろよく29種の香りを嗅ぎ別けることが出来たな、と目の前のコンバトラーへ賞賛を送りたくなる。そして颯爽と口直しの紅茶を持ってきたAに、ついつい涙が浮かんでしまう。
「この冷血漢!!私たちを殺す気なの!?
きっとカフェイン中毒で、舌がやられてるんだわ。」
尚も紅茶(色の劇物)を飲み続けるスティーブンに、K.Kは言い放つ。
「落ち着いて下さい、ミセスK.K。
先程私があげたスパイスの殆どが、リラック作用のあるものでございます。
スティーブン氏は皆様のお体に気を遣ったのでしょう。違いますか?」
包帯の奥から優しい視線を向けられ、スティーブンは照れ臭そうに頰をかいた。
普段自ら紅茶を振る舞うことのない彼のことだ。暗い雰囲気を打ち崩してやろうと、慣れない事をした結果、えげつない代物が完成してしまったのであろう。でも次からはスパイス抜きで淹れて欲しいものであるが。
「まあ、ちょっとやり過ぎたかな。反省はしている。」と、劇物を片手にスティーブンは謝罪をし、「捨てるのは勿体無いから。」と、ポットに残った液体をカップに注ぐ。
「ダメです。スティーブンさん、それはダメです。」
チェインが必死に制止を試みるも、「勿体無いじゃないか。」の一言で回避されてしまう。あんな劇物を全部飲んで、体調を崩してしまったらどうなるのか。あの中に入っているのは全てスパイスだが、取り過ぎは中毒を引き起こす。
何故そこまでしてジャパニーズ精神を持ってくるのだ。生粋のラテン人だろうに。
「そこまでよ傷男。見苦しいにもほどがある。」
件の紅茶がひとりでに浮き上がり、容器をからにした。
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9t9 - 血界戦線大好きのスティーブン推しで貴方の作品を見つけました。本当にこの作品が大好きです!ツェッドさんとか出てきたら絡みがどうなるのかとかも楽しみだし単純にこの先の物語が楽しみでなりません!!更新が止まっていらっしゃるようですがずっと待ってます! (2022年10月19日 16時) (レス) @page38 id: f8f6fc2c71 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃぼ(プロフ) - いつまでもお待ちしております...!!! (2021年8月28日 1時) (レス) id: 4c0d27bb14 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 初コメ失礼します。一人称は使い分ける方が良いと思います。ちょっとしたことですがこれだけで表現の幅がだいぶ違うと思うからです (2017年10月30日 19時) (レス) id: 5884d91fd1 (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - メヌエットさん» コメントありがとうございます。面白いと感じて頂けて嬉しいです! (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - nana☆さん» アンケート回答ありがとうございます!更新頑張りますね。 (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rin | 作成日時:2017年10月23日 8時