Goodbye my friend＊JJ＊【２】

助け舟 ページ29

「あ、エミってのは…オレが妊娠させた相手だけど」

A「…」

「結論からいうとオレの子供じゃなかったんだよね」

A「…」

「あいつオレ以外にも付き合ってたヤツいたみたいで。
そっちが本当の父親だってさ」

A「…」

「オレも遊ばれてたってわけ」

A「…」

「大事な彼女振って、
一旦は父親になる覚悟までしたのにさぁ。
オレ、ほんとバカだったよ」

A「…」

「なぁ、A」

A「…」

「オレたちヨリ戻せないかな？」

A「…」

「オレにはやっぱりAが必要なんだ」

A「…」

「A…」


翔が私の手を握ろうとしたので
反射的にその手を払った。


A「…バカじゃないの」

「え？」

A「ヨリ戻そうとか…あんな風に裏切っておいてよくそんな事言えるよね」


吐きそう。

せっかく美味しく飲んだお酒を
全て戻してしまいそうなくらいの胸のムカつき。


私が10年間愛した男性は
こんなにもバカみたいなヤツだったの？


情けない。


翔も。
私も。



A「…帰るわ」



翔に背を向けて帰ろうとしたら


「A！」



腕を強く引き寄せられて
背中から抱き締められた。


A「翔…！！やめて！離して！！！」


「A話し聞いてよ」


A「ヤダ！これ以上何も聞くことなんてない！
私は翔と戻るつもりなんてない！！」


「あの時は本当にごめん。でもあの日からずっとAと別れた事後悔してた。
何度も戻りたいって思った」



抱き締めたまま話し続ける翔。

1年前までは大好きだったこの感触が
今はただただ気持ち悪い。



A「お願い、離して！」

「A頼むよ…また前みたいにさ……」


一向に離してくれない翔に
どうしたらいいのかと途方に暮れていたら。


助け舟は、突然現れた。



「お前、何してんだよ！彼女嫌がってんだろ！」


私の後方から聞き覚えのある声。

…まさか。



「オレたちは話し合いしてんの。部外者が口挟んでくんな」

「部外者、じゃねーし。とにかく離れろよ」


私に抱きつく翔を
無理矢理引き剥がしてくれたその人は


「Aだいじょぶ？」

「ジェジュン…」



優しい眼差しで、私を見ていた。

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