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さすがに倫也にお土産買いすぎた。あれもこれもと思ったら気づけば大荷物。
「Aさん、大丈夫ですか?」
「へーきへーき!」
両手に荷物を持って新幹線から降りた私に生田くんが目を丸くしてる。
「直帰でいいんですよね?」
「うん。ちゃんと許可もらってる」
在来線のホームへ歩きながら話してると、生田くんと私はどうやらご近所さんだということが発覚。最寄り駅が同じらしい。
「同じ駅だったんですね」
「電車で会ったことないよね」
電車に乗り込むと、生田くんが自然に私の手から荷物をとって上に上げてくれて、ひとつ空いた席にどうぞとエスコートしてくれる。
あまりにスマートな動きに言われるまま、すとんと座って、一拍あいてから、ありがとうと言うと生田くんはにっこりと笑い返した。
少しの間は近所にあるお店の話とかをしてたけど、疲れてたのかいつの間にかうとうとしていて、気づいたら寝てしまっていたらしく、とんとん、と肩を叩かれて起こされた。
「Aさん、もうつきますよ」
「んん…、え、」
電車が駅に着くと生田くんは、さらっと私の荷物を全部荷物を持って降りちゃって慌てて後を追う。
「ごめん、自分で持つから!」
「いいですよ、家近くみたいですし送ります」
「いやいや、いいって」
スタスタと改札から出て、こっちですか?って、振り返った生田くんから無理やり荷物を奪おうとしたらひょいっと避けられて
そのまま生田くんの胸に顔からぶつかった。
「おっと、」
「いったあ…」
「大丈夫ですか?」
これ以上鼻が低くなったらどうすんの…。
鼻を押さえる私を生田くんが笑いをこらえて覗き込む。
「大丈夫じゃない…」
「あは、鼻赤くなってますよ」
「笑うな!急に避けないでよね!」
顔を上げて生田くんに文句を言ってると、視界の端、生田くんの10メートルほど後ろに、じぃーっとこちらを見てる倫也がいた。
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作成日時:2019年5月30日 19時