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し  side T ページ26

魔人にもいくつか例外はあるって言ったでしょ?

死人を生き返らせることはできないとか、人を殺すことはできないとか、願いを増やしてってのもダメ。

そして恋愛。

その気のない人を好きにさせることはできない。

Aがもし、彼氏を自分のものにと願ってもオレがそれを叶えることはできない。

できてもやらねぇけどな!


ぴたりと足を止めて、じっと正面から歩いてくる男を睨む。



「トモヤ?」


Aが傷つくのは見たくない。


「あれ?A?」

呼ばれた瞬間、Aの顔が強張った。

振り返り、固まってしまったAの手をぎゅっと握る。

大丈夫だから。オレがついてる。


「誰でした…?」

「はあ?お前、付き合ってた男の顔忘れるか?」

「あ、ごめん、和真?気づかなかった」


オレから見れば強がってんの丸わかりなのに、目の前の男はちっとも気づいてない。

気づくどころか、Aの横にいるオレを下から上まで舐めるように値踏みするのに忙しそう。

どうせ、スーツだの時計だの身につけてるもので、自分より下かどうかみてんだろ。

お前の隣にいる女もおなじように値踏みしてオレに色目使ってんぞ?


「なんだよ、その隣の男」

「この人は、」

「Aの彼氏(になる予定)だけどなにか?」

え  side T→←お  side T



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作成日時:2019年5月30日 19時

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