れ side T ページ16
ふわふわとそのまま通り過ぎようとした時、彼女が一瞬顔を上げた。
細い路地裏に座るその子の顔に月明かりが射し込む。
月光に照らされた彼女は、悲しそうな顔なのにきらきらと反射する瞳が宝石みたいに輝いてる。まるでダイヤモンド。
なんて綺麗なんだ
一瞬で心を奪われた。
嘘みたいに綺麗に泣く人間の女の子。
あの子をオレのものにしたい。
「おばば…オレ、あの子に決めたわ」
「?!これ!トモーニャ!」
ランプに戻るが早いか絨毯からジャンプ!
人生初めての恋に、文字通り真っ逆さまに落っこちた。
「ご主人様を自ら選ぶなんて前代未聞じゃ!ただではすまんぞ!」
絨毯からおばばが叫ぶ声が聞こえるけど、そんなこと気にしてられない。
今を逃したらもう会えない。
だって、オレには自由なんてないんだから。
もしこれで消されてもそれでいい。
生まれて初めての心が動かされる感覚
女の子のカバン目指して思いきりダイブしたまではよかった。
カバンまであと少し。
びゅん!と吹き抜けたビル風によって着地点が狂いカバンの少し右側へ転がり落ちた。
カランカランカラン…
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作成日時:2019年5月30日 19時