youth 42 ページ42
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「は、？」
慎「...好きだよ、Aのこと」
“ 好きだよ ” の一言に思わず振り返ってしまう。
慎太郎は、伏し目がちに下唇を噛んだ。
「何...言ってんの？慎太郎には彼女が」
慎「その彼女って、何のこと言ってんのかわかんないけど」
「なんでとぼけるの？」
慎「俺、彼女なんていたことないし今もいないよ」
さすがにここまできて嘘はつかないよね。
それに、慎太郎は素直だから嘘をついてる時はすごくわかりやすい。
今の慎太郎は、全く嘘をついている様子ではない。
慎「だってさ、俺...初恋の人を今でも想ってるんだから」
「それ、って...」
慎「A以外、好きになったことなんてないよ」
月光にぼんやりと揺れた慎太郎の瞳が、私を捉えて離さない。
「じゃあ...毎日夜遅くまで一緒にいた女の子は？居残りだって、本当はしてなかったじゃん」
慎「それは、...」
「隠しごとされてるのに、信じるなんて無理だよ」
慎「...わかった、ちゃんと話すから」
慎太郎は、掴んでいた私の手首をようやく離してくれた。
触れられたところが、まだ熱くなっているのがわかる。
慎「そこに座って話そ」
「...うん」
慎太郎が、家の庭に自転車を止めた。
ふたりで慎太郎んちの玄関の外に並んで座る。
慎「Aが聞きたいことは、あの女子のことだよな」
「そう、だよ」
慎太郎は、ぽつりぽつりと真実を話し始めた。
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作者名：姫野
| 作成日時：2022年9月3日 22時
