youth 27 ページ27
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慎「これからは関わらないように、って俺言ったよな」
「言ったけど」
慎「なに、なんかあった?それなら話聞くけど」
明らかに、喧嘩腰。
どこからどう見ても、話を聞こうとしている様子ではない。
いいから吐け、と言わんばかりの圧が窺える。
「別に話すことなんてないよ」
慎「さっきすれ違った時に “ ちゃんと見てやれよ ” って言われたけど、それってAのこと?」
「...知らないよ」
慎「なんであいつがそんなこと言うの?Aのこと傷つけたくせにさ」
慎太郎は、何もわかってない。
いや、私だって全然気づかなかったんだから仕方ないけど。
このタイミングでの田中先輩の悪口は、私にとって1番の逆鱗。
慎「...目、腫れてる。また泣かされたのか」
「、違う!」
慎「なんで庇うんだよ、あいつのこと」
「慎太郎は...何もわかってないよ」
さっきまで女の子といたくせに、帰ってくるなり田中先輩のことを疑ってかかって。
慎太郎は何もわかってないし、私だって何もわからない。
いったいどうするのが正解で、どんな言葉を紡げば穏便に済むのか。
だけど今は、ただただひとりになりたかった。
慎「おい、A!」
だから、呼び止める慎太郎の声を振り切って家の中に入ったんだ。
「心配するふりなんて、しないでよ...」
そんな独り言は、虚しく響くだけ。
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作者名:姫野 | 作成日時:2022年9月3日 22時