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youth 25 ページ25
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樹「...嫌いになってほしくてあんなことしたのに、結局ネタバラシしちゃ意味ないよな、笑」
公園の小さな灯りに照らされた田中先輩の横顔が、妙に切なく見える。
人を思いやる強さと優しさを兼ね備えている田中先輩。
そんな田中先輩にこんな顔をさせているのは、間違いなく私だ。
「田中先輩、ありがとう」
樹「...ん、聞いてくれてさんきゅーな」
「...じゃあ、私そろそろ帰ります」
立ち上がった瞬間に揺れたブランコを押さえることもなく、私は歩き出した。
さっき足元に落ちた涙は、まだ渇ききっていない。
樹「待って、送る」
「...え？どうしてですか」
樹「そんな泣き腫らした目してるのに、1人にできないよ」
田中先輩は自分のバッグを勢いよく持ち上げて、有無を言わさず私の隣に並んだ。
夜は、少しだけ隙が多くなる時間なのかもしれない。
樹「それに、Aちゃんが泣いてる理由もちゃんと聞いてない」
「そんなの、田中先輩が聞く必要ないですよ」
樹「話してみたら少しは軽くなると思うよ」
「でも、...」
樹「俺のこと、涙を乾かすためだけに使ってもいいから...だから、
もう少し、一緒にいさせて」
自分のために、何かをしてくれる人がいる。
たったそれだけで、人は結構救われてたりするんだ。
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作者名：姫野
| 作成日時：2022年9月3日 22時
