youth 16 ページ16
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「で、ずっと心の中がモヤモヤしてる感じ」
ジェ「ふーん、なるほどね」
いつ慎太郎が戻ってくるかわかんないから、なるべく簡潔にジェシーに話した。
ジェシーは相槌を打ちながら、最後まで話を聞いてくれた。
ジェ「慎太郎のこと好きってことだ」
「...やっぱり?」
ジェ「それしかないでしょ、だってそれ嫉妬だよ?」
「そうだよねー...」
私だって、この気持ちに全く気付いていなかったわけじゃない。
さすがにこんな感情を抱いていて恋を自覚できないほど、自分に鈍感ではない。
だけど、昔からずっと一緒にいてなんで今さら...
ジェ「慎太郎彼女できんの初めて?」
「うん、今まではいなかったよ」
ジェ「それで嫉妬して初めて気付いたってことね」
「じゃあ私はもっと前から慎太郎が好きだったってこと?」
ジェ「じゃないの?」
待ってよ、いつから?
確かに慎太郎に彼女ができるのは初めてで、今まではこんな感情になったことすらなかった。
だから今気付いたけど、私は昔からいつの間にか慎太郎のことが...?
ジェ「ま、いつでも相談してよ」
「ありがとねジェシー」
ジェ「慎太郎戻ってきたよ」
教室のドアの方を見ると、戻ってきた慎太郎の姿が。
あれ、待って。私慎太郎に恋してるんだっけ。
待てよ、落ち着け。いつも通りでいいんだよね。
慎「A、はい」
「え、なっ、なに?」
慎「自販機のイチゴオレ。こないだ売り切れで落ち込んでたから」
「あ、りがとう...」
“ 好き ” を自覚した途端、どうやって接すればいいかわからなくなった。
さっきまでモヤモヤしていたのに、今度は胸の高鳴りがうるさい。
ジェ「しんたろー俺にはないの?」
慎「あ、ゴメンポッケに100円しか入ってなくてさ」
その100円を私のために使ってくれたんだ。
意識し始めると、慎太郎にすごくドキドキしてしまう。
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作者名:姫野 | 作成日時:2022年9月3日 22時