わたし、あなたのATMちゃん。【あほの坂田】

2話 ページ2

『いらっしゃいませ、』



都心にある赤い屋根が目印の小さなケーキ屋さん


そこが私の職場でもあり、彼と出会った大切な場所




昔から人見知りで人と話すのが苦手だった私

そんな私を救ってくれたのは坂田さんの歌声で


あの向日葵みたいなあったかい歌声に何度救われただろうか





………あ、坂田さんのアクキー付けた女の子。



お店にやってきたのは、高校生ぐらいの可愛らしい女の子
リュックにはばっちり赤色の彼がぶら下がっていて


さすがに仕事場で公私混同はしないけど、少しむっとしてしまったり



『…ご注文はお決まりですか？』


「あ、えっと、、、この赤い苺のムースケーキ2つください！」



赤、ってわざわざ言わなくてもいいのになあ。
なんて捻くれたことを考えながら箱にケーキをつめていく


坂田さんのアクキーと一緒に写真でも撮るのかな、お願いだから坂田さんの誕生日ケーキとか頼まないでね、病むから。



『苺のムースケーキ2つで780円でございます』



コミュ症の私の精一杯の笑顔で、ありがとうございました。とお見送り


お願いだから、彼が今お店に来ませんように。
なんて、そんなことを願ってみるけど神様は意地悪で



チリンチリン、とドアベルが鳴る音



少し高めの身長と、ぱっちりした目が可愛らしいお客さん


私を見つけて笑顔になるのは嬉しいけど、
前の同担が気づかないわけがない。もしかして？って思ってることぐらい分かっちゃうよ




これ以上嫉妬させないで。









なんて言える勇気があれば、こんなにリアコ拗らせてないけど

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