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第1話 姫巫女と剣士と守護者 ページ3

 春の日差しが心地よいある日の午後、皇家の敷地内にある広い庭で一人の少年が地面を見つめていた。少年はこの前直したばかりの右足に装着した金属製の義足の具合を確かめているらしい。

 彼は紅い瞳を持ち、黒い前髪に三つ編みが腰まである赤い髪をしている。ラフな格好をした少年、皇ユキはもうそろそろ夕方になろうかというのにまだ来ない友人を待ちわびて、自分の影を恨めしそうに見ていた。


「遅い……」


 ユキのいら立ちを含んだ呟きはそよそよと吹く涼やかな風に流される。

 そんな彼を縁側に座って穏やかに見つめている少女がいた。彼女はお尻を過ぎるぐらい長い黒髪に、赤い瞳をしている。着物に身を包んだ少女、桜ノ宮千代は長い黒髪を風になびかせていた。

 彼女のそばには2歳ほど年上の少女、琥珀が千代を護るかのように控えている。おそらく千代のボディガードという立場なのだろう。その彼女のポニーテールに結った髪も風になびいていた。彼女は「ラ・フォルツァ:力」の守護者(ディフェーザ)だ。

 千代とユキには奇妙な共通点がある。それは二人とも外に出たことがない、というものだった。姫巫女である千代が皇神社を出たことが無いのは、邪悪な者たちから身を護る為だろう。しかし、「イルマット:愚者」の守護者であるユキが出られないのは奇妙だった。一体どういう訳なのだろう。

 ユキがもうそろそろ自分の影から目を離そうとした時、柵の先にある社務所の向こうから声が聞こえてきた。


「ごめんごめん、遅れた!」


 向こうから駆けてきたのは、一目で生徒と分かる服を着た少年だった。少年は横髪が腰まであり、後ろが肩までのポニーテールの白銀の髪に銀色の瞳をしている。


「遅い! 今日の昼過ぎには来るって言っていたじゃんか!」


 ようやく来た友人にユキは怒鳴り声をあげる。約束の時間をとうに過ぎているからだ。琳空は苦笑いを浮かべるしかなかった。太秦家の当主とも言える立場の彼はそれなりに忙しい生活を送っている。おまけに孝の剣士でもある。


「そう怒んなって。ちゃんと来ただろ? ほら、玉子豆腐やるから機嫌直せよ。ユキ」

「玉子豆腐!? 食べる食べる!」


 ユキは目をキラキラさせて玉子豆腐に飛びついた。玉子豆腐は彼の大好物なのだ。


「ほんと玉子豆腐好きだよなぁ。ん? 千代、どうした?」


 琳空の見つめる先には、ぼんやりと杜の外を視る千代がいた。

第2話 人影の気配→←プロローグ


ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!

タロッコ

結果は 節制 (ラ・テンペランツァ) でした!


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設定タグ:剣士 , 仁義八行、神秘、神社 , 姫巫女   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ROM民(プロフ) - 日向信乃さん» すみません、勘違いしていたようです。やはり巡回していると自分でも気付かない内に判断力が低下してしまうようですね…。反省し、改めさせて頂きます。ご迷惑をお掛けして、誠に申し訳ございませんでした。 (2015年11月12日 22時) (レス) id: 67f8438bca (このIDを非表示/違反報告)
日向信乃(プロフ) - ROM民さん» ご指摘感謝と言いたいところですが、この話のどこが二次創作にあたるのか教えて頂けないでしょうか? (2015年11月12日 20時) (レス) id: 149e2c85db (このIDを非表示/違反報告)
ROM民(プロフ) - はじめまして。「オリジナルフラグ」が外れていませんよ。二次創作ですので、棲み分けにご協力お願いいたします。 (2015年11月12日 20時) (レス) id: 67f8438bca (このIDを非表示/違反報告)
天宮信乃 - 。愁音 。さん» 久し振りー!琳空役のもんどす。名前変更しときます (2014年11月24日 15時) (レス) id: 8b41fe3180 (このIDを非表示/違反報告)
。愁音 。(プロフ) - お久しぶりです!忍役の者です!用は無いけど来てみましたー♪ (2014年11月23日 13時) (レス) id: d300b57f7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:信乃@琳空 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Assuming4/  
作成日時:2014年6月29日 15時

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