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人生万事塞翁が虎 その七 ページ33

それからというもの、敦と太宰は十五番街の西倉庫に来ていた。
暗闇の中、太宰は"完全自 殺読本 "なるちょっとあれな本を読んでいる。

敦「......本当にここに現れるんですか?」

太「本当だよ。心配いらない、
虎が現れても私の敵じゃないよ。こう見えてもない『武装探偵社』の一隅だ」

敦「はは、凄いですね。自信のある人は。僕なんか孤児院でもずっと「駄目な奴」って云われてて......そのうえ今日の寝床も、明日の食い扶持も知れない身で」

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「天下のどこにもお前の居場所はありはせん」

「この世から消え失せるがいい」

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敦「こんな奴がどこで野垂れ死んだって......いや、いっそ喰われて死んだほうが......」

太「......却説、そろそろかな」

太宰が窓から見える満月を見ながら云った。

ガタンッ!!

敦「っ!今......そこで物音が!」

太「そうだね」

敦「きっと奴ですよ、太宰さん!」

太「風で何か落ちたんだろう」

敦「ひ、人食い虎だ。僕を喰いに来たんだ」

太「座りたまえよ、敦君。虎はあんな処からは来ない」

敦「ど、どうして判るんです!」

太「そもそも変なんだよ、敦君。経営が傾いたからって養護施設が児童を追放するかい?大昔の農村じゃないんだ。いや、そもそも経営が傾いたんなら一人二人追放したところでどうにもならない。半分くらい減らして他所の施設に移すのが筋だ」

敦「太宰さん、何を云って......」

太「君が街に来たのが二週間前、
虎が街に現れたのも二週間前。
君が鶴見川べりにいたのが四日前、
同じ場所で虎が目撃されたのも四日前。
......国木田君が云っていただろう『武装探偵社』は異能力の力を持つ輩の寄り合いだと。巷間には知られていないがこの世には異能の者が少なからずいる。その力で成功する者もいれば、力を制御できず身を滅ぼす者もいる」

この段階で敦の骨格は人間のそれから大型獣のそれへと変化していった。

太「大方、施設の人は虎の正体を知っていたが君には教えなかったのだろう。......君だけが解っていなかったのだよ、君も『異能の者』だ。現身に飢獣を降ろす月下の異能者」

次の瞬間敦、こと虎が太宰に飛び掛かる。虎は太宰が避けたことにより、そこにあった木箱を破壊した。

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たりたり(プロフ) - 光華さん» ご指摘ありがとうございます。速攻訂正しますのでもうしばらくお待ちください。更新は、なるべく早めに出来るように頑張りますのでこれからも宜しくお願いします。 (2020年7月14日 21時) (レス) id: 00b9e7564a (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 後半の方が苗字変換されてませんよ?更新頑張って下さい (2020年7月14日 21時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たりたり | 作成日時:2020年5月31日 12時

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