第十一話 ページ12
乱「やればできるじゃない」
秘書「君は......何なのですか!凶事の後であろうとなかろうと此処は社長室、関係者以外の立ち入りは禁止です!」
乱「それは知ってる。でも僕、関係者だから。今日面接だって聞いてきたから。僕見たら判るでしょそのくらい」
ーー面接?
秘書「は......はぁ、君は面接希望者ですか。確かに少し前、社長が事務員見習いの面接を行うと云っていた気がしますが......」
福沢が見ると、少年はまだ入り口近くで押し問答している。助け船のひとつでも出してやりたいが、福沢がいるのは入り口から離れた隣室側のドアである。書類に阻まれて進めないので黙って見守るしかない。
乱「はあー、こんなに散らかしちゃって。いくら部屋を調べられないからって......ほんと大人って不可解だよ。世の中は不可解に満ちている!」
秘書「い......意味不明なことを云わないで下さい!」
秘書は裏返った声で叫んだ。その時に福沢はあや、と思った。顔色の悪い秘書の表情に、わずかに狼狽の色が見て取れたからだ。
秘書「君が此処に来た理由は判りました。しかし今我が社はそんな場合ではありません!社長が殺し屋の凶手にたおれたのです。従って面接は中止。私は被疑者引き渡し時間、いわゆるヨンパチまでにこの書類の欠如を発見し当局に報告しなければいけないのです。さあ、一刻も早くお引き取り下さい。さあ、さあ」
乱「だからそれは知ってるったら、見たら判ることをどうして一々云うかな?」
そこで久方ぶりにAが口を開いた。
A『あの、彼はもしかしたら面接の活動認定証を貰いに来たのでは?面接が出来ない状況なのは室内を見ればすぐに判るでしょうし......』
乱「そのとおり!秘書さんだって判ってるでしょ?」
秘書「活動認定証ーーああ、就活の活動を認定する政府発行の認定証ですか」
乱「この中にたぶんあるんじゃないかなと思うんだけど......」
少年は室内をみまわした。
乱「面倒だなあ。ねえ秘書さん、この無意味な書類、ぺっぺと退けちゃっていい?」
秘書「駄目です。この並べ方そのものが、犯人の狙いを看破するための重要な方法論なのです。これは私の他には社内の誰にも......」
乱「へえ〜」
そう云いながら少年は足元の書類をさっさと摘まみ上げはじめた。途中からそれも面倒になり、指で適当に書類を散らして道を作っていった。
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たりたり(プロフ) - 光華さん» ご指摘ありがとうございます。速攻訂正しますのでもうしばらくお待ちください。更新は、なるべく早めに出来るように頑張りますのでこれからも宜しくお願いします。 (2020年7月14日 21時) (レス) id: 00b9e7564a (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 後半の方が苗字変換されてませんよ?更新頑張って下さい (2020年7月14日 21時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たりたり | 作成日時:2020年5月31日 12時