ある同僚の話 ページ3
瀬良がいなくなった日、なんとなく、只なんとなく嫌な予感はしてた。
もしかすると仕事でミスするとか、なにかアクシデントが起こるとかそんな類に近い。
たまたま、その予感の正体が失踪だっただけだ。
当日の朝も、特には何も思わなかった。
警察には心配して自宅を見に行ったと話したが、先輩に言われたから確認しに行ったと言うのが正解。
でもよく考えれば作りかけの書類とか、カップに入ったままのコ−ヒ−とか普段の瀬良ならこの状態で居なくなるのはおかしな所は色々ある。
しかし、本人は何処にもいないし連絡もつかない。
警察からは、何らかの事件に巻き込まれた可能性が高い事や他府県でも似た事件が同日に起こったため関連付けて調べていると言ってはいたが、あまり詳しい事は分からず難航してるらしい。
そんな全ての審議は謎な状態でかれこれ2週間は経っただろう。
仕事上担当が居ないのはいけないとの上司のお達しの元、瀬良が任されていた仕事は私が引き継ぐ形となった。
元々互いになにかあった時のために情報は共有していたため差ほど困りもしなかったが、患者様や子ども達などへの説明には苦労した。
子供たちからはなんで?の攻撃、成人してる方でも何も言わないだけで何かあったとは気付いているだろうし、人の感情に敏感な方が多いのだから隠し通す方が難しい
そうしている間にも日々は過ぎていくし、何事も無いように時は進むもんだ。
私もその中の一人でしかない。
瀬良が戻ってくると根拠のない信頼を寄せている。
いつ戻ってきてもいいように
戻ってきてから困らないように
それが日課であったかのように、それが当たり前かのように、瀬良にデスクにある青いフォルダ−を取る。
そして、ある場所に電話をかけてからいつものように仕事を始めた。
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「はい、もしもし」
『先輩御久し振りです。』
「あら?久し振りって言っても先月会ってるからそんなにだけどね。
でも、電話なんて珍しいね。何かあったの?」
『瀬良が失踪したんです』
「瀬良君が?」
『はい、事件性はあるものの進展はないんです。
それで先輩なら何か分かるんじゃないかと思って。』
「そういう事ね…。分かった、私なりに調べては見るけど期待はしないでね。」
『ありがとうございます』
「それより、あなたは大丈夫なの?」
『・・・。では何かあったら教えてくださいね、失礼します』
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作者名:ピエロ | 作成日時:2022年3月13日 19時