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するとコンコン、とノックする音が聞こえた。
こんな夜更けに誰だろうか。

もしかして、王女様が戻ってきてくれたんではないか。
それはないだろうな。もう夜中の3時を回っているし。

そうはわかってても、期待してしまう。

しかし、そんな淡い期待も裏切られ、玄関の覗き穴から見えるのは、いつでも会いたくない、あの女団長だった。
イライラしつつも、追い返そうとドアを開けた。

「…こんな夜更けになんだ。貴様の顔を見たくないんだが。それに今、俺は気が立っている。さっさと部屋に戻れ、クズが」
「…そう、じゃあ戻りましょうか、A」

「…A?」

このデカイ女団長の後ろにいて気づかなかったが、小柄でとても可愛らしい王女様が、枕を抱きしめ、俯いていた。
女団長を無視し、王女様の前に立つと、大粒の涙を流していた。

「Aどうして、泣いてるんですか…っ!」
「言っておくけど、私が泣かせたたわけじゃないわよ」

「ご、ごめ、ごめん、なさっ…」
「…私は部屋に戻るけど大丈夫?」

「う、うん…っ、ご、ごめんね、マリアちゃん…」
「いいのよ、じゃあおやすみ」

女団長は王女様の頭をポンポンと撫で、部屋へと戻ったようだ。
俺は王女様の頭に付着した雑菌を払い、部屋へと招き入れた。

「手を洗ってきます。先にベッドへ行っててください」

王女様は返事をせず、ただコクリと頷いて、寝室へと戻って行った。


手をゆすいで、俺も寝室に戻ると、王女様は自分の枕を俺の枕の隣に置いており、代わりにクマのぬいぐるみを抱きしめてベッドに座っていた。
隣に座ってもいいか、迷ったが、ダメだったら離れるだろう。

そう思って、隣に腰掛けると、離れるどころか、近くに寄ってきてくれた。なんと可愛らしい。
今は落ち着いているようで、泣いてる様子が見られない。

「さて、どうしたんですか?」
「ご、ごめん、なさ…」

「…謝るのは私の方です」
「わた、しが悪いん、です…」

喋っているうちにまた泣き出してしまった。
王女様の泣き顔も可愛いが、あまり見たくない。

王女様の肩を抱き寄せると、寄りかかってくれた。
よかった、拒絶はされないようだ。

「Aは悪くありません」
「で、でも…」

「私が悪いんです。Aの気持ちを考えず、女王陛下のことばかりで、あなたの気持ちを踏みにじっていたも同然です」
「そ、そんな…っ。嫉妬なんて醜いものを持ってた私が悪いんです…!」

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作者名: | 作成日時:2018年8月18日 0時

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