アダム王女を置いて行くの巻 ページ2
数日前に王女様と城下町へお出かけしたとき、初めて王女様の誕生日がすぐに控えていると知った。
誕生日プレゼントを用意できてない俺は、どうにかしてプレゼントを用意したいと思った矢先、女王陛下からお休みをいただけることができたのだ。
そのお休み当日。
俺はある失態に気づき、王女様の部屋へときていた。
「えー!?アダムさん今日いないんですか!?」
「申し訳ありません。お休みを女王陛下よりいただいたので、これから城下町へ行くのです…。事前にお伝えせず申し訳ありません」
「また町へ行くんですか?ずるいです。何しに行くんですか」
「必要なものを買いに…」
「必要なものって?」
「武具の手入れ道具とか…」
「アダムさんの魔剣に手入れ道具って必要なんですか?そもそも手入れ道具ならお城にありますよ」
王女様は意外と鋭く、痛いところをついてくる。
「A様、アダム様だってお買い物に行きたいときくらいありますよ」
「私もついて行きます」
それは非常にまずい。
誕生日プレゼントはサプライズで用意するからこそ、一興でもある。
プレゼントに驚いた王女様の喜ぶ顔が見たい。
「ダメですよ。女王様から外出許可頂いてないんですから」
「今からもらってくる」
「A様、いつも一緒にいてくださってるんですから。たまには一人でゆっくりとした時間をお過ごししたいと思いますよ」
「そうなのですか?」
王女様は目をうるうるとさせ、俺を見つめてきた。
とても可愛い。そんな顔されても、今日ばかりは一緒にいれない。
しかし、一人がいいというわけではない。
「いえ、A様のお側から離れたくなどございません。しかし、今日ばかりはダメなのです…」
「…そこまで言うのなら仕方ありませんね。門まで送ります。それくらいはいいですよね?」
「はい、もちろんです」
* * *
「本当に私を置いて行くんですか」
「…申し訳ありません」
「アダムさんのバカ…早く帰ってきてくださいね」
「用事を済ませたら、すぐにA様…いえ、Aの元へ戻ります」
「はい、気をつけて行って来てくださいね」
「それでは行ってまいります」
開いた門をくぐり、少し歩いたところで後ろを振り返ると王女様は門の下に立っていた。
早く中に入らないと風邪を引いてしまうと心配になったが、そんな心配は無用のように、王女様は微笑み俺に手を振った。
俺も笑顔で手を振り返し、王女様を待たせないためにも町への道のりを急いだ。
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作者名:夏 | 作成日時:2018年8月18日 0時