1話 ページ1
それは、一目惚れだった。
友人のユリとお茶しようと、ユリの気になっていたお店に彼はいた。
その店は何もかもが完璧と言えるもので、お店の雰囲気や、特別肥えている舌を持っているわけではない私でもわかるほど、美味しいお茶に食事。
そして食後のデザートを運んできたのが彼だった。
「お待たせいたしました。シフォンケーキお2つお持ちしました」
サラサラな赤髪、綺麗な目、整った顔、接客業というのに、笑わない。
でも、悪い感じはしなかった。
「ごゆっくりお過ごしください」
一礼して去っていく彼の後ろ姿に釘付けになった。
運ばれた抹茶パフェに手をつけず、不思議に思ったユリの視線を感じる。
「ははーん、もしかしてA、あの人のこと気になるの?」
「えっ、やっ…ちが…」
心臓がドキリと高鳴った。ユリの言う通りだからだ。
でも、そうだとユリの前で認めるのは恥ずかしくて、嘘をついてしまった。
「何年アンタと一緒にいると思ってんの、気になったんでしょ?」
「…うん」
私の嘘は虚しくも見破られてしまった。
彼はのれんをくぐり、裏に行ってしまい、姿が見えなくなってしまった。
「連絡先聞いてみれば?」
「えっ、無理無理!絶対無理!恥ずかしいもん」
「聞かないと、これから関われるのお客としてだよ?いいの?」
「それは…嫌かも…」
もっと彼のことを知りたい。そのためにはお客と店員の関係じゃダメだ。
「私が側にいるからさ」
「う、うん…頑張る」
* * *
「ふう、美味しかった…」
「本当にね、よしじゃあ行こっか」
「えっ、もう!?」
「だってアンタのことだから時間かかりそうだし」
「そうかもしれないけど…、ちょ、待ってユリ!」
私のことは構わず、ほいほいとレジに向かうユリを慌てて追いかける。
レジには、メガネをかけた男性がいた。
会計を済ませると、ユリは店員さんと談笑していた。
相変わらずコミュ力の高い恐ろしい子だ。
「あ、そういえば、赤い髪の男性いますか?」
「えっ…」
本当に聞くのかと驚いたのも束の間。
「裏にいると思うので、呼んできましょうか」
「はい!お願いしますね!」
勝手に話が進み、店員さんは裏へと行ってしまった。
「ちょ、本当に聞くの!?」
「頑張れ!横にいるからさ」
無理だと言ってるうちに、例の男性が来てしまった。
「何かございましたか?」
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akane_朱音 - おおお!鹿楓堂だぁ…好きだから見つけた時凄いテンション上がりました(笑)応援してます! (2019年11月12日 17時) (レス) id: 4c34134b9d (このIDを非表示/違反報告)
めぐり - 文章力があってとても素敵なストーリーだと思います…!楽しみにしてます!頑張って下さい! (2019年1月16日 19時) (レス) id: 80db5b4186 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - いきなりすみません。 鹿楓堂のお話ず〜〜っと探しててやっとの思いで見つけたのがこの作品でしあわせです!とても面白いです!!!無理せず頑張ってください!応援しています! (2018年9月5日 3時) (レス) id: 45d8e3c7bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏 | 作成日時:2018年7月5日 0時