Because it is already late. "緑" (ページ44)

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#44 ページ44

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あれから、どんなけ経ったか。

ほんまはもう病院にいたあかん時間やけど、特別に許してもらえた。

赤いランプはまだ、廊下を照らしてる。

時間が経つにつれ、どんどん膨らむ恐怖心。

時計なんかどうでも良いから、お願いやから、

いつもみたいに笑って居られますように……!!

握りこぶしをつくって、ぐっと力を込める。

その時、バタバタと走ってるような足音が聞こえた。それも複数の。

弾かれたように立ち上がって見ると、やっぱり淳太らが居た。

「はあっ、はあっ、りゅっ、せ、…はぁっ、神、ちゃん、は？」

「今も…手術中」

膝に手をつき、肩で息をしてるしげ。

「なぁっ、神ちゃんがっ、助からへんかったらどないしよっ」

メンバーが来てくれて安心したんか、つい本音が漏れた。

「何言ってんねん、神ちゃんは助かるって」

当たり前やろ？とでも言いたげな表情で俺に笑い掛ける照史。

「…でもっ」

「大丈夫やって！なあ？」

照史に振られた淳太は

「あ、ああ。やって神ちゃんやで？」

と、ニコッて笑った。

…神ちゃんやからってどういう意味やねん。

「神ちゃんは絶対生きる！」

「死ぬとか、そういうネガティヴな事は考えへん方がいいで」

全部全部、俺を元気づけるためやとか、わかってる。

そう、俺は神ちゃんが死ぬって考えてる訳じゃない。

…でも。

「…んなや」

「ん？何て？」

「ふざけんなや！」

はまちゃんが俺の肩に手を乗せようとしたのを、振り払った。

皆んなは驚いたような表情で俺を見てる。

「なあ、絶対とかなんでそんな簡単に言い切れるん」

「…いや、やって」

「俺らの！メンバーが！今、…生きるか死ぬかの間に居るんやで？」

「神ちゃんは大丈夫」

「淳太らは見てないからそんな事言えるんやろ！？」

その言葉に、ぐっ、と口をつぐむ淳太。

「なあ、事故に遭った瞬間見てないからそんな簡単な事が言えるんやろ？」

「俺がどんな想いで此処に居るか分かる？

やのに《絶対》とか《大丈夫》とか…っ」

鈍い音と共に、宙を舞った赤い飛沫。

赤色に染まったコンクリートの上に横たわる、神ちゃんの体。

あの時の、手先の温度が下がって行く恐怖。

どれもこれも、淳太やしげは知らん感覚。

「…は？何それ」