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〜君の運命の人になりたかった〜 [ゲスト]野島夢/切 (一条オチ) ページ44

野島side

短かったなぁ…僕の片想い。アプローチも出来なかった。
彼女は覚えてないかもしれないけど、彼女がクレープ屋さんで働いてたとき、僕は彼女に一目惚れした。そこからちょくちょく通っていたけど、彼女の名字以外知ることはなかった。聞く勇気がなかったんだ。

京極組に同期で入門した彼女と再会したときは運命の人…って信じたこともなかったけど、もしかしたら彼女がそうなのかと思った。
彼女は、店で見た頃と同じように誰にでも優しくて、丁寧で、真っ直ぐで、努力家で…人の為になら本気で怒れる人だった。

相良の兄貴に沢山どやされた日も、涙をグッと堪えていた顔を見て胸が痛くなった。極道としては甘い!と言われるだろうが…彼女には笑っててほしかった。

野島「おはようAさん」

「おはよう、野島くん」

野島「そういえば聞いたかい?今日は、相良の兄貴事務所来ないらしいぞ」

「そうらしいね〜!」

野島「ちょっと嬉しそうじゃないか…?」

「えっ…ソンナコトナイヨ」

野島「びっくりするくらい嘘が下手だな!」

「わーっ!しーっ……ね?」

彼女はびっくりするくらい嘘が下手で、少し恥ずかしそうに内緒。と言った…。ずるいなぁ。
他の人に聞こえないように僕は声を落とした。

野島「…やっぱり、相良の兄貴が苦手なのか?厳しいし…」

「それもあるのだけど…着信音が怖くて…」

野島「着信音」

「バキッ!とかグチャッ!みたいな音なんだもの…」

野島「まさか、何よりの理由はそれなのか…?」

「私、耳がいいんだ。だからすごくよく聞こえるから怖くて」

多分一般的な理由とは少しズレた理由で相良の兄貴を怖がる、少し変わった女性。
何でもない話をしていたら、些細なことでも鈴を転がすように笑う。そんな彼女が僕は好きだった。
その笑顔を毎日隣で見ていられたらどれだけ幸せかと思った。

でも…入門して1年が経ったとき、彼女の口から聞いたんだ。

「私ね、一条の兄貴と付き合いだしたの。」

野島「えっ」

「実は入門3ヶ月ごろから付き合ってるの」

野島「え、えー!教えてくれたら良かったのに!」

僕は嘘つきだ。知りたくなかった。嘘であってほしかった。

だけど、一条の兄貴と過ごすその姿を見て、誰にでも見せるその向日葵のような明るい笑顔とは別に、一条の兄貴にだけ向ける女性としての笑顔があることに気がついた。

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ひなえ(プロフ) - ゆうさん» 読んで頂きありがとうございます! (2022年11月1日 21時) (レス) id: a16a1e4961 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 相良さんのプロポーズ最高です!!!!!!! (2022年11月1日 21時) (レス) @page39 id: 945705f77e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひなえ | 作成日時:2022年7月28日 16時

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