〜雷鳴〜 小峠夢/甘 ページ40
連日続く雷雨はその日も容赦なくAの住むアパートの外壁や、窓を叩きつけていた。
線状降水帯が出来てからというもの毎夜毎夜このような天気続きだ。またも突如空がカッと光ったと思えば、ドーン！と大きな音を立てて雷が落ちる。
小峠「結構近いな。停電しなきゃいいんだが…」
小峠は冷静に呟きながらベランダに続くカーテンを開け、外を眺めてから座っていたリビングの椅子に再度腰掛けようと振り返ると、向かいに座っていたはずのAの姿がない。
小峠「あれ…A？」
ふと、テーブルの下から何やら気配を感じ覗いてみるとそこには頭を抱えたAの姿があった。
小峠「A、何してんだ？」
「…り……よ…」
小峠「なんだ？」
「雷怖いのよ私っ…」
小峠「雷が怖いだと？」
小峠は決して雷の危険性を知らないわけではない。だが近くには鉄柱があり、更にここは住宅密集地だ。雨のことを踏まえたとしても、川が近いわけでもない。
何より自分含め極道に雷が怖い、等というものは当然いない。万一怖がるとしたら本当に何も周辺にないような環境下だけだ。
よってそんな反応をする人間は他に見たことがなく、純粋に驚きだった。
極道ならばそんなもんにビビるな！というところだがカタギ…増してやAならば話は別で、ただただ愛おしく感じた。
小峠「そんなに怖ぇか…」
「…うん」
小峠「…怖えならもう布団に入ろう。寝ちまえば気にならねぇさ。」
なんとかそう説得すると、雷が鳴っていないうちにAを連れて寝室行こうとすると、またも近くで雷が落ちた。
「きゃーっ！」
Aは酷く怯えて小峠に飛びついた。
小峠「うぉ！危ねえだろうが…。」
「だって…」
顔を上げたAは今にも泣き出しそうだ。涙ぐんだ目で見上げられた小峠は何も言葉を吐き出せなくなった。
小峠(…んな顔するなよ…！ずるいだろうが！)
ほんの少し頬を染めながらも、Aを布団に寝かせ、自身も隣で横になる。
そしてAの顔が自身の胸板につくように抱きしめる
小峠「しばらくこうしてるから…それなら怖くないだろ？」
「…華太さん…」
片手でAの頭を優しく撫でながら、もう片方の手で背中に腕を回す。Aはその胸板に顔を埋めて心地良さそうに微笑んだ。
しばらくそうしていると、寝かせるはずが小峠は自分が眠くなってしまい、船を漕ぎ始めてしまった。
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ひなえ(プロフ) - ゆうさん» 読んで頂きありがとうございます！ (2022年11月1日 21時) (
レス) id: a16a1e4961 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 相良さんのプロポーズ最高です！！！！！！！ (2022年11月1日 21時) (レス) @page39 id: 945705f77e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひなえ | 作成日時：2022年7月28日 16時
