続きです ページ38
「寒いでしょ、一緒に使う?」
相良「俺は寒くねぇよ。良いから掛けとけ」
「…ありがと」
(嘘つき)
分かりやすい痩せ我慢をしながら相良は車を発進させると、かなりの距離を走ってS県に入る。そこでは海鮮が有名らしく、海鮮を食べに店に入る。
「うん!これ美味しい。食べてみる?」
相良「…恥ずかしいから辞めろバカ」
等といつもの調子で話しつつ、相良をいつも近くで見ているAでしか分からない些細な落ち着きの無さにAは追求したかったが、なんとなく辞めたほうがいい気がして辞めておいた。
そして店を出たあとまた暫く走り、山道に入った。曲がりくねった暗い山道を登っていくと、見晴らしの良い展望台のような場所へとやってきた。するとそこは一面の夜景が広がっていた。
「わぁ…綺麗……」
車から降りて近くの柵に寄り掛かって夜景に魅入っていると、車でなにかやっている様子の相良に声を掛けられた。
相良「…たまにはこういうのも見てぇかと思ったんだよ。ほら、上も見てみろ」
「上?」
言われるがままに、見上げてみれば冬の大三角形がハッキリ見えるほど星がチラチラと輝きを放っている。
黒焉街ではまず見られない景色に、Aは息を呑んで空を見上げていた。
「すごい…星空って暗いところに来るとこんなに見えるもんなのねぇ…」
相良「あぁ…。もう時期年明けるな」
相良の声が一瞬震えた。
「お、そうだね。あと20秒!」
19、18、17…
相良「お前今年やり残したことある?」
「えー…うーん…ないかなぁ…?颯誠は?」
相良「特にねぇな。まぁ来年の目標なら決まってるけど」
「話すことが颯誠らしくない…本当に今日どうしたの…?なんか変よ…?」
相良「お前…俺をなんだと思ってんの」
車から何かを取り出した相良が後手に何かを隠し持ち、Aに真っ直ぐ歩み寄る。年が変わるまで
5、4、3、2、1…
日付が変わったと同時に、どこからかゴーン…ゴーン…と除夜の鐘の音が微かに聞こえてきた。
相良「あけましておめでとう…A」
「あけましておめでとう…」
相良「付き合うまでも色々あったが…まぁ、なんだ、その…何回も泣かせて悪かったよ…」
相良は片手で首を抑え、Aから視線をそらしがちになりながら言葉を紡ぐ
相良「…俺の今年の目標は…
「え…」
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ひなえ(プロフ) - ゆうさん» 読んで頂きありがとうございます! (2022年11月1日 21時) (レス) id: a16a1e4961 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 相良さんのプロポーズ最高です!!!!!!! (2022年11月1日 21時) (レス) @page39 id: 945705f77e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなえ | 作成日時:2022年7月28日 16時