検索窓
今日:17 hit、昨日:42 hit、合計:26,300 hit

〜人の振り見てあえて我が振り直さない!〜 久我夢/甘 ページ15

「少し引っ張りますよ」

舎弟「はい」

「…あぁ、穴が空てますね。食事はとれてます?」

舎弟「もんらいないれふ(問題ないです)」

「では軟膏を塗って様子を見てください。刺激物はひかえてくださいね。酷くなるようなら病院へ」

舎弟「はい…ありがとうございました」

Aは日頃から、さすがに病院にしかないような医療器具を取り扱わないといけないような怪我は手当てできないが、こんなふうに簡単に診察や処置をしている。
(ちなみに今の舎弟は唇にできた口内炎に穴が空いていたらしい。)

診察用に使用していた手袋を外してシノギに取り掛かる姿は、極道ではなくまるで女医のように見える。
久我はそんな姿をパソコン越しに無意識に見つめてしまい、その舎弟が少しデレデレしている様子なのが気に障り、思わず少し眉間に皺が寄る。

久我(別に口内炎気にしてるんじゃなくて、無理にでも接点増やしてるだけだろうが…)

難攻不落と言われるAを落とすための作戦の一部なのだろう、久我にはそんなことは透けて見えており、嫉妬とまではいかないが、わざと用件を無理にでも作っている者を見るのはいい気分ではなかった。
資料をコピーしようとコピー機の前に立ち、コピー用紙をコピー機に補充していると

久我「…いてっ」

「兄貴?どうされました?」

久我(事故とはいえ…気に掛けられて嬉しいなんて…人の事は言えねぇな…)

ぼんやりとでもしていたせいか、やけに鋭利な新品のコピー用紙でスッと指を切ってしまっていた。

久我「あ、いやちょっと紙で指を…まぁ、なんてことねぇよ」

「…地味に痛いんですよね、そういうの。」

そう言うとAはデスクから絆創膏を取り出して、久我の元に歩み寄る。

「手、出してください」

久我「え、あぁ。」

そう言って差し出された指にAはそっと絆創膏を貼る。

久我(手、冷てぇ、小さいな…。)

(手、大きいなぁ、温かいなぁ…)

小柄なAの手はそれに比例して小さい。
全体的に小さいというのは彼女自身すごく気にしているので言いはしないが、その手を見つめていると思わずそのまま手を握りしめたい、と一瞬考えて指先に力が入りかけるが、理性でその衝動をグッと抑えた。

続きです→←追加設定のお知らせ(今更)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
37人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひなえ(プロフ) - ゆうさん» 読んで頂きありがとうございます! (2022年11月1日 21時) (レス) id: a16a1e4961 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 相良さんのプロポーズ最高です!!!!!!! (2022年11月1日 21時) (レス) @page39 id: 945705f77e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひなえ | 作成日時:2022年7月28日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。