私、気がついたら極道でした２ (ページ15)

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Episode19　月夜ページ15

野島と別れたあと、Aのスマホが鳴った。

(ん…？あ！一条の兄貴だ)

スマホに表示された名前を見てAの心は一瞬浮き上がる。ここのところ話せてもいなかったので嬉しかった。

「はい、Aです」

一条『急に悪いな。最近どうかと思って電話してみたんだ。事務所で話してると相良にヤキいれられかねないからな…』

「あはは…ですね。」

一条『今から一時間後に家に行ってもいいか？』

「え？まぁ…はい。それは構いませんけど…」
(どうしたんだろう？)

一条『じゃあ、また後でな』

そう言って一条はすぐに電話を切ってしまった。

「えっ…兄貴…？…まぁいいか…」
(それより一時間後に来るのか…早く帰ろう)

不思議に思いながらもAは足早に自宅へと歩いた。
10分程で帰宅し、寝支度やお茶の用意を整えてから一条を待つ。

(兄貴…早く来ないかなぁ…)

Aは一条に早く会いたくてたまらなかった。いつも優しい顔で話を聞いてくれる人、何でもないことを話せる一条と会話が出来ないことがなかなか苦痛だったからだ。

やがて一条の乗る車のエンジン音が聞こえてウキウキと玄関に走った。
少しして玄関に人影が映り、Aは笑顔で戸を開けて一条を出迎えた。

一条「お疲れ」

「お疲れさまです、兄貴」

一条「わざわざ玄関で待ってたのか？」

クスリと笑った一条にAは笑顔で返す。

「エンジン音で兄貴って分かるので」

一条「相変わらずすごい耳いいな。」

そう言って一条はポンポンとAの頭を撫でた。Aは心地良さそうに目を細める。
一条はその顔を見て、野島と既に付き合っているということはなさそうだと一安心した。