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「私は、師範や黒焉街、京極組の方に育てられてきました。そのことにすごく感謝してるんです…だから早く一人前の剣士になって、黒焉街の人を守れるようになりたいんです。それなのに他の組に入るなんて出来ません。」
和中「…。」
「それに私が命懸けでもついていきたい人は、もう心に決めているんです…だから、ごめんなさい」
和中「…見事だ。入らないかというのは愚問だったようだな。君の意志は良くわかった。時間を取らせてすまなかった」
「え、あ…いえ。」
和中「少ないが、これは貴重な時間を取らせた詫びだ。ここでの支払いに充てるといい。」
そう言って和中は机の上にそっと一万円札を入れた封筒を差し出した。
「い、いえ!受け取れません!」
和中「?」
「連れの子が戻らなくて退屈してたぐらいですし、和中さんは京極組じゃないですけど、お優しいし…そんな方から貰ったらバチが当たっちゃいます。」
和中「…優しい…?俺が…?」
「和中さんはなんていうか…すごく声が優しいんです。もし脅す気なら立ったままのほうが効果あるのに、そうはしなかった。だから、受け取れません」
和中「…頑固だな。」
和中は驚いたあと、一瞬安心したような、呆れたようななんとも言えない表情でフッと笑い、封筒をしまった。
和中「刮目相待…。だが忘れるな、違う組ということはもし抗争となればその時は敵同士だ。鍛錬に励め。」
「…はいっ」
(やっぱり、いい人だ)
そう言って和中は立ち去っていった。そして店の外に出てまもなくすれ違った男に声を掛けられた。
一条「…天羽組 妹分に 何してる」
和中「剛毅果断…心配せずともあの子供の硬すぎるくらいの意志は汲んだ。ここまでハッキリ拒否ならば親っさんも何も言うまい」
そう言い残し立ち去っていく背中を、密かに一条は一瞬睨みつけた。
和中(兄友弟恭…親っさんにはそう報告する他ないな。)
〜おまけ〜
源十郎「なに?男と二人で会っていた…?」
相良「はい、ちょうど見たやつがいるらしいです」
清水「彼氏かもしれませんね」
源十郎「かれ、し…?」
一条「はぁ…あの子にも彼氏、か…」
少し寂し気な一条を茶化そうと清水が口を開きかけた。
源十郎「そいつはどこの馬の骨だ!どこに行ったんだ!?」
3人(ええぇ!?)
一条(この間まで孫の幸せが…って)
後に誤解は解けました。
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ひなえ(プロフ) - 黄昏さん» 読んでいただき、ありがとうございます!亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2022年7月6日 14時) (レス) id: a16a1e4961 (このIDを非表示/違反報告)
黄昏 - 初めまして、「私、気が付いたら極道でした」を読ませて頂きました。とても、面白くて続編を楽しみにお待ちしております。 (2022年7月6日 3時) (レス) @page26 id: 7ec4680236 (このIDを非表示/違反報告)
みたぞの(プロフ) - オリ/フラ立ってますよ!!続編作ってもフラグのチェックが入ってしまいます!!確認して外して下さいね!! (2022年6月29日 22時) (レス) id: 5dcad8042f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなえ | 作成日時:2022年6月29日 18時