ヒューマンバグ大学短編１６！

（Ａ）〜ゆうしゃ〜　世良✕オリオン ページ13

(今年もこの日が来てしまった…)

エルペタス日本支部付属の医療チームの中の一人、そこで看護師を務める華恋は憂鬱そうに溜息をついた。
毎年１２月になると、健康診断や(希望者のみ)インフルエンザワクチンを打つという一般的な会社同様の行事がある。

そして、その日は採血が行われる日なのだが…

(帰りたい…)

榎本「龍宮さん、顔にも雰囲気にも考えてることが出てるわよ」

ブルーになっているのを看護師長に見破られてそう声を掛けられた。

「うぅ…だって師長、アサシンの皆さん怖いんですもん…」

榎本「今日はいつトップランカーの方も来るかわからないんだから、手を出してくるようなアサシンはいないわ。
怖がってないで切り替えなさい」

「はい…」
(手を出されなくても、オリオンさん以外のトップランカーの方が怖いんです…とはいえない…。)



実は去年の採血の際、順番が来たオリオンが椅子に腰掛けた時、慣れない採血に緊張していた華恋を見抜き

祇園「そこにいる子、なんかすげえ緊張してるみたいじゃん？俺の採血この子指名していい？」

「え？わ、私ですかっ！？」

先輩看護師１「えっ…この子まだ入ったばっかりで採血ヘタで…」

先輩看護師の１人が慌てて間に入る。

エルペタスの絶対的存在であるオリオンの採血を新米看護師に任せるのは気が引ける…というのも勿論あった。

しかし、一番の理由はその顔立ちにプラスして、別け隔てなく誰にでも気さくに接するフットワークの軽さや、アサシンの中では珍しく穏やかで優しいオリオンは看護師の注目の的色男として特段人気なのだ。

しかしオリオンは

祇園「新米だからこそだよ。練習しないと上手くならないだろ？君等も後輩育ってくんないと困るだろ？」

先輩看護師１「う…」

そして華恋を見ると

祇園「最初は下手で当然だ。俺は下手でも文句言わねえからやってくれや」

と言って笑い掛けてくれたのだ。

(くぅううーっ！カッケー！そりゃモテるわけだ！)

という経緯があって、たまに会うオリオンは目が合えば先に笑い掛けてくれる事もあり、以後オリオンの事は慕っていた。(他のアサシンは目を合わせられない程怖い)


のだが


祇園「お、華恋ちゃんじゃねえの。採血上手くなったか？」

「あ…」

その声に華恋は顔を上げると視界に入ってきたのはオリオンだけではなく

世良「…」

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