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藤崎「特に何も。でも…強いて言うなら……」
(おおっ！何かコツが)
藤崎「気合」
「…。」
野島「おお…藤崎さんが稀に発する精神論…。」
とはいえ、藤崎でもさすがに一条相手では攻撃を躱しきれず、またタフさもない為すぐに伸びはしなくとも、なかなか苦悶の表情を浮かべていた。
一条「エグいねえ その体制で そうくるか」
藤崎「…」
野島「一条の兄貴も本気ではなさそうだけど…」
「…異次元…ですよね…」
一条と藤崎の稽古風景を見学していて、二人は控えめに言ってドン引きしていた。
確かに竹刀以外でも攻撃してもいいし、全力でやれと言われてはいる…とはいえ、顔面を本気で蹴り抜こうとする藤崎を見ていると
(全力でやってはいるけど、顔狙うなんて私なら恐れ多くてそこまでできませんよ…。いや康明さんになら当たらないだろうけど…)
と思っていた。そして自分を攻撃させて刺せるかどうかを試し、時に竹刀で薙ぐ一条も相当だ。
稽古なのに殺し合いを見ているようでAはなんだか胃が痛む思いだった。
しかし…藤崎の得物であるナイフ(但し安全配慮でプラスチック製)をひたすら受けると
(あれ…？)
素早さは一級品そのもので実物ならば何箇所か斬られかねないが、一撃一撃はどれも軽い。
実物であっても深手を負わすことは不可能であろう力量だった。
感じた違和感はそれだけではない。
打ち込み稽古で雛乃がAの竹刀を受けた雛乃は見事に防いではいるが、少し身を引いて受けて流している。
真正面からは受けようとしていなかった。
真正面から受けるととても苦しそうで、鍔迫り合いでは簡単に押し勝つ。とはいえ、攻撃は全て見切られており全て見事に防がれてしまう。
そして野島と一条が稽古している間に藤崎に再度声をかける。
「雛乃さん、本当強いよね。」
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作者名：ひなえ | 作成日時：2022年10月31日 0時
