ヒューマンバグ大学短編集４！ (ページ32)

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最後ですページ32

少し顔を伏せていると、小林がそういえば、と思い出したように声を上げる。

小林「A、お前…」

「え、はい？」
(え、名前…)

突然名前で呼ばれて驚き、脈拍がやたらとドクドクと早くなるのがわかる。

小林「お前さ、俺のこと好きだろ」

「………はい？」

小林「早く答えろぉ、どうなんだよ」

「それは…えっと…兄貴として、でしょうか？」

小林「すっとぼけんなよ、グリンすんぞ」

Aは「だったら諦めろ」とでも言われるのだろうと、ハッキリ振られるだけなのだろうと思い、すっとぼけてみせたが脅されるだけでろくなことはなかった。
少し深呼吸をしてから止めたくなる息を吐き出すように答える。

「…好きでしたよ。ずっと…ずーっと前から…」

泣きそうなのを堪えて小さな声で呟く

小林「そうかぁ。よし、じゃあこれからAは俺の女な。」

「……ん？」

零れそうだった涙が一気に引っ込み、涙腺がギュッとしまった。突然のことに頭が追いつかず、激しく混乱する。
Aの混乱と動揺を他所に小林は更に追い打ちをかける

小林「浮気したら即グリンな？」

俺の女や浮気、と聞いてつまり交際ということになる事を少しずつ脳内で整理して、やっとの思いで言葉を紡ぐ。

「きゅ、急すぎません…！？それに励ますのは仕事とかなんとか…！」

小林「んー？そりゃそうだろ？でも俺それだけが理由とは言ってねえし。つかなに、断んの？」

圧力を掛けてくる小林の姿勢に開いた口が塞がらない。
小林は膝を曲げて、顔の位置をAに合わせる。そのため小林の強めな眼力が目前に迫り、色んな意味で心臓がバクバクと鳴る。

小林「どうなんだよ、答えろやこら」

「こ、断らない…です…」
(この状況で脅しって…嘘ですよね…！？)

そう聞くと小林はAの後頭部に手を回して唇を奪った。
顔を真っ赤に染めるAを眺めたあと

小林「離れたら…わかるな？」

と、悪魔が耳元で優しく囁いた。