ヒューマンバグ大学短編集４！ (ページ27)

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続きですページ27

走って給湯室へ向かうと、なんとそこはお茶とお茶菓子がぶち撒けられ、お嬢が絶望したような顔で掃除をする姿があった。

阿蒜「おっ…お嬢！大丈夫ですか！？」

「あ、あああ阿蒜くん…私…」

亜蒜「お嬢、折角のお召し物が汚れてます。俺が片付けますから、お嬢は着替えましょう？風邪をひかれてしまいますよ。」

「ご、ごめんなさい…」

阿蒜「謝らないでください、大丈夫ですからっ」

俺が慌ててそう言えば仄かにお嬢が微笑んで

「うん…」

と言って着替えに行った。俺は大急ぎで片付けを済ませて、お茶を淹れ直して、途中合流したお嬢と一緒に事務室に向かうと、中から

龍本「おい伊武、なんだこの書類」

伊武「龍本の兄貴、何か問題がありましたか？」

龍本「問題も何も…数値が全部ズレて書かれてるぞ？どうした？らしくもねえじゃねえか。具合でも…」

伊武「え？あー…すいません。それは…」

そんな会話を小耳に挟みつつドアを開けると、そこには不思議そうな顔でミスだらけらしい書類を片手にしている龍本の兄貴の姿があった。

龍本「おや、お疲れ様ですお嬢、いらしてたんですね。」

阿蒜(あ、龍本の兄貴の持ってる書類って…)

「龍本さん…。すみません…ミスだらけ…でしたか？」

龍本の兄貴は怒ってる訳ではなく、心配そうに伊武を見ただけなのだが、何やらおかしいと首を傾げ、その後再びシュン…としてしまったお嬢の顔を見て、俺と伊武の兄貴の顔をそれぞれ見たあと、お嬢の顔をもう一度見た。

阿蒜「あー…えっと！すみません！もしかして俺がやったやつかもしれません！」

「…ごっ、ごめんなさい…！龍本さんの分のお茶も追加してきますね！」

恥ずかしそうに顔を赤くして、涙を堪えたような震え声、そして走り去るお嬢。

３人「お嬢！！」

龍本の兄貴、伊武の兄貴、俺は顔を見合わせて給湯室へと走ったお嬢の後を追った。

「はぁ…私、何しようとしても足引っ張ってばっかり…」

一人、狭い給湯室でお嬢はさめざめと泣く。
多忙な両親の元に産まれたお嬢は、親の背を見て、そして優しい兄貴達を見て、自分が手助けしたいと幼い頃からよく親を手伝っていた。

だけどどういうわけか、お嬢は所謂ドジっ子で、すごく頑張ってもどこかでミスをすることがあって…それでも改善しようと努力しているのは皆分かっていた。