ヒューマンバグ大学短編集４！ (ページ26)

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〜頑張り屋さん〜　河内組夢（鈴　様リク）ページ26

俺の名前は阿蒜寛太

龍本「はい…これで大丈夫ですよ、お嬢」

「ありがとうございます！龍本さん」

眼の前で繰り広げられる和やかな光景につい頬が緩む、ペーペーの極道だ。

ご存知の通り、河内組は現在内部抗争によりピリピリしているわけですが…そんな河内組にもオアシスがある。

それがこの常に兄貴達をはじめ、下っ端構成員である俺にまで優しく気を遣ってくださる河内組のお嬢、Aさん。

Aさんは組長の一人娘で、幼い頃はよく多忙で構って貰えない組長と姐さんに変わって、眉済の兄貴に世話になっていたと聞く。
それ故に眉済の兄貴が可愛がってきた舎弟である伊武の兄貴や龍本の兄貴とは長い付き合いなんだそうで…。

今回は、そんなお嬢にまつわる河内組での出来事を一つ。
それはつい先日、闇金の上がりの計算等を手伝いに俺達の事務所に来てくれていたわけなのだが…

「お…終わる気がしないですね…」

伊武「お嬢、お疲れでないですか？」

「大丈夫です！体力には自信あるんですよ」

伊武「それは頼もしいですねぇ。…しかし、休息も大切です。一度休憩にしませんか？」

「それもそうですね…。」

阿蒜「お疲れ様です、お嬢、兄貴、俺お茶お淹れてきますよ！」

「阿蒜くん、たまには私淹れてきますよ」

伊武「え！？お嬢！」

阿蒜「そんな！お嬢にそんなことをしていただく訳には…！」

「まあまあ…私が好きでやりたいんです。それに今日のためにお茶菓子買ってきたんですよ…だめですか？」

そんなふうに首を傾げて聞かれたら、俺も伊武の兄貴も為す術もなく…。
それは立場上も勿論ですが、お嬢はあまりにも可憐な方ですからこの方が仮に一構成員だとしても…大半の男は頷かずいられる漢は…多分いない。

そしてお嬢が給湯室へ行ったのを見届けたあと、颯爽と伊武の兄貴に頭を鷲掴みにされ

伊武「お嬢がご用意したお茶菓子…残すなんてことはねえよなあ？」

阿蒜「勿論でございます！」

お嬢のご用意してくれるお茶菓子は毎度美味しいし、残すことなんてあり得ないんだけど…何故か伊武の兄貴は特に毎度脅しをかけてくる。

阿蒜(本当になんで…？)

すると不意にお嬢の向かった給湯室からすごい音がして

伊武/阿蒜「！？」

阿蒜「俺、見てきます！」