54話 ページ10
いつもと同じ時間に家を出たはずなのに１５分も早く学校に着いてしまった。
普段から余裕をもって登校していたため、他の生徒は見当たらなかった。
Aは自席に着くとバックから母の手袋を取り出す。
『お父さん、お母さん、頑張るよ。』
そう手袋を額に当てて言い終わると、教室のドアが静かに開いた。
『おはよう轟くん。』
「おはよう、早いな。」
轟はあくまで表情は変えていないが、少し悩んだように間を空けた後
Aの机の前に来た。
「お前に話しておきたいことがある、聞いてくれるか。」
『…いいよ。』
そう伝えると轟は前の席の椅子を引き、自分の生い立ちについて話をしてくれた。
個性婚で生まれた子であること。
母親から煮え湯を浴びせられたこと。
幼少期から父親に限界を超える訓練を受けさせられたこと。
『…何故そんな大事な話を私に…？』
「…分からねぇ。でもお前に俺のこと知ってもらいたいって思ったんだ。」
そうか、そうか
だったら私が掛けられる言葉はなんだろうか。
”個性ではなく、彼自身を見てあげる”
申し訳なさそうに少し伏し目がちに視線を下に落としている轟の左側に触れる。
「！！！！」
『”轟くんの”エメラルドの目も、赤い髪も素敵よ。』
その行動と言葉に驚いたのか、轟は目を見開いて固まっている。
『私の目も青いでしょ？お揃いね。』
Aはふふっと笑って見せた。
轟が言葉を発そうと口を開くと、廊下から賑やかな声が聞こえていた。
『皆来た見たいね。』
「…そうだな。」
何人かが教室に入ってくるのと同時に轟も自席に戻って行った。
「おはようA！」
『おはよう響香。』
「緊張するね〜！今までテレビで見てた体育祭に出るなんて未だに実感ないよ。」
・・・・・
賑やかになっていく教室の中で、轟はずっと一点を見つめている。
「おはようございます轟さん、Aさん達の方を見ているように見えますが
どうかなさったんですか？」
「…八百万、いや、なんでもねぇ。」
そういうと轟は頬杖を付きながら窓の方へと視線を移す。
”『お揃いね』”
紅く染まった頬を隠すように。
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それいゆ(プロフ) - 風速100�辰気�» 楽しんでいただけて幸いです！これからも少しずつですが更新していくので良かったら見ていってください＾＾ (2017年9月30日 18時) (
レス) id: 6ca5e17515 (このIDを非表示/違反報告)
それいゆ(プロフ) - 海苔巻さん» ありがとうございます＾＾とても嬉しいです＾＾！頑張ります！ (2017年9月30日 18時) (レス) id: 6ca5e17515 (このIDを非表示/違反報告)
風速100��(プロフ) - オチが誰になるのか考えながら楽しく読ませていただいてます！これからも更新頑張って下さい(^ ^) (2017年9月9日 20時) (レス) id: 345fc05a24 (このIDを非表示/違反報告)
海苔巻(プロフ) - このお話本当に大好きです！更新頑張ってください！! (2017年9月4日 21時) (レス) id: f9e32566f1 (このIDを非表示/違反報告)
それいゆ(プロフ) - 神楽と来夏さん» ありがとうございます＾＾そう言って頂けて嬉しいです！ (2017年8月26日 19時) (レス) id: 6ca5e17515 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MAKEOVER | 作成日時：2017年4月9日 15時
