75話 ページ33
『ありがとう轟君、落ち着いた。』
そういうAは幾らか晴やかな顔つきだった。
「俺は何もしてねぇ。」
表情を崩さない轟だったが、その顔つきもどこか温かかった。
「でも１つ言わしてくれ。」
『何？』
「お前は体育祭、道具を使って個性を制御しながら戦ったことが皆に失礼だったと言ったが、
俺はそうは思わねぇ。
個性の制御が出来ない状態も今のお前の全力だ。現にお前はそれで悩んでるんだろ。」
その言葉が何故かストンと胸に落ちた。
そうか、そういう考えもあるのか。制御しながら戦うことも全力に変わりないのだ。
呆然としていると轟が小首を傾げた。
『っぷ』
「ん？俺可笑しい事言ったか。」
『いや、何かこう、首を傾げてる姿がちょっといつものイメージと違ってて…』
必死に笑いを堪え様にも緩んだ頬は思ったように動いてくれない。
轟はその姿に２、３回瞬きをした後ゆっくり目元を細める。
「やっと笑ったな。」
その言葉にAは改めて轟の方に向き直る。
「お前は笑顔の方が似合う。」
そう面と向かって言われ、Aは自分が悩んでいること一つ一つ、時間は掛かっても焦らず
向き合っていこうと決めた。
『ありがとう。』
少し頬を紅潮させ柔らかく微笑むAの姿に轟は少し耳を赤く染める。
『遅くまでごめんね、駅まで送ってもらっちゃって。』
「気にすんな。」
そう言って微笑む轟をAはじっと見つめる。
「…何だ？」
『轟君も笑ってる顔の方が良い！』
突然そう言われて思わず口元を手で覆う。
まるで自分が笑っていたことに気がついていなかったように。
そして手を口元からずらしながら呟く。
「…焦凍」
『え？』
「焦凍って呼べ、A。」
Aは一瞬目を見開いた後、また目元を細め口角を上げて微笑む。
『ばいばい、焦凍！』
家に着くと明かりは灯っておらず、まだみずが帰っていないことが分かった。
『(もし焦凍に会ってなかったら、もっと不安になってただろうな。)』
鍵を開けて玄関のドアを開ける。
ご飯の準備をしなければと思いながらもリビングのソファに倒れこんでしまう。
『(体、動かないなぁ。やっぱり気が張ってたのかも。)』
徐々に狭くなっていく視界の中、携帯の着信音が聞こえた気がした。
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それいゆ(プロフ) - 風速100�辰気�» 楽しんでいただけて幸いです！これからも少しずつですが更新していくので良かったら見ていってください＾＾ (2017年9月30日 18時) (
レス) id: 6ca5e17515 (このIDを非表示/違反報告)
それいゆ(プロフ) - 海苔巻さん» ありがとうございます＾＾とても嬉しいです＾＾！頑張ります！ (2017年9月30日 18時) (レス) id: 6ca5e17515 (このIDを非表示/違反報告)
風速100��(プロフ) - オチが誰になるのか考えながら楽しく読ませていただいてます！これからも更新頑張って下さい(^ ^) (2017年9月9日 20時) (レス) id: 345fc05a24 (このIDを非表示/違反報告)
海苔巻(プロフ) - このお話本当に大好きです！更新頑張ってください！! (2017年9月4日 21時) (レス) id: f9e32566f1 (このIDを非表示/違反報告)
それいゆ(プロフ) - 神楽と来夏さん» ありがとうございます＾＾そう言って頂けて嬉しいです！ (2017年8月26日 19時) (レス) id: 6ca5e17515 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MAKEOVER | 作成日時：2017年4月9日 15時
