66話 ページ22
「くっっ！！」
咄嗟に受身を取ったものの、あまりの衝撃に体から嫌な音が聞こえた。
一緒に飛ばされたヒーローを見ると、俺を庇ったせいかピクリとも動かない。
圧倒的な力の差――
怪我のせいなのか、それともビビッているのか、自分も全く体が動かせなかった。
「(この距離でこの威圧感かよ…！！)」
すると黒い影は座り込んでいる子供にゆっくりと近づいていく。
クソッ！！！！！！
子供に手を翳した瞬間、奴はピクリと体を反応させて俺の方を向いた。
「(お前がどんな個性なのか知らねぇが、俺だってヒーロー志望なんだよ！！)」
その瞬間死を覚悟した。
しかし奴が視線を外した瞬間、地面が槍のように伸びてそいつの体を貫いた。
その直後、遠くから消防車やヒーローの声が聞こえてきた。
奴は目の前の子供を一瞥したあと槍状になった地面を壊し、血だらけになった
クリエイターとアナリシスを引きずって夜の闇に消えた。
俺は動かない体を奮い立たせ、子供の下へ向かう。
正面にまわって座り込むと、その表情に驚愕した。
体は傷だらけ、顔は涙で溢れ、目は光を失っていた。だが一番驚いたのは
殆ど意識がないことだった。
「っおい、大丈夫か。」
そう声を掛けても俺を瞳に映そうとしない。
ただ両親が引きずられて出来た血の跡を呆然と見つめていた。
『お父…さ、ん……お、母さ…』
そう呟くと、俺の胸に倒れこむようにして瞳を閉じた。
救急車の音が近づくのを感じながら、子供の頭に手を置く。
「あの場で唯一立ち向かってたよ、お前。」
その後、職場体験も終わり、俺は子供がどうなったのかがずっと気になっていた。
「(名前もどこの病院かも、会ったら会ったで何て声掛けていいかも分からんけどな。)」
今日は気が進まないが、調子に乗って骨折した(何でかは知らない)マイクのお見舞いに来ている。
重い足取りで病院の中へ入ろうとすると、凛とした幼い声が後ろから聞こえた。
『あの時のお兄ちゃん！！』
振り向くと、ずっと気がかりだったあの時の子供が笑顔でこちらに駆け寄ってくる。
とっさにしゃがむとそのまま胸に飛び込み、ギュゥゥっという効果音が聞こえそうなほど
その小さい腕で強く俺を抱きしめた。
『お兄ちゃんおけがは？』
一番に俺の心配をしてくる。自分の方が遥かに辛いはずなのに…
「大丈夫だ。お前は？」
『Aもだいじょーぶ！』
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それいゆ(プロフ) - 風速100�辰気�» 楽しんでいただけて幸いです！これからも少しずつですが更新していくので良かったら見ていってください＾＾ (2017年9月30日 18時) (
レス) id: 6ca5e17515 (このIDを非表示/違反報告)
それいゆ(プロフ) - 海苔巻さん» ありがとうございます＾＾とても嬉しいです＾＾！頑張ります！ (2017年9月30日 18時) (レス) id: 6ca5e17515 (このIDを非表示/違反報告)
風速100��(プロフ) - オチが誰になるのか考えながら楽しく読ませていただいてます！これからも更新頑張って下さい(^ ^) (2017年9月9日 20時) (レス) id: 345fc05a24 (このIDを非表示/違反報告)
海苔巻(プロフ) - このお話本当に大好きです！更新頑張ってください！! (2017年9月4日 21時) (レス) id: f9e32566f1 (このIDを非表示/違反報告)
それいゆ(プロフ) - 神楽と来夏さん» ありがとうございます＾＾そう言って頂けて嬉しいです！ (2017年8月26日 19時) (レス) id: 6ca5e17515 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MAKEOVER | 作成日時：2017年4月9日 15時
