お散歩 ページ10
A「八重桜咲いてる!」
麗らかな春の日、いつ湧いて出たのか分からない靴を履いたAと、近所の公園にお出かけしに来た。
お風呂から出ると、知らぬ間にパジャマが用意されてるし、出掛ける時には靴が玄関に揃えてあるし、誰がやったか分からないけど、毎日そういう現象が起きている。
それもこれも、毎日Aが成長することに比べたらさして驚くべきことでもない。
彼女の小さな手を握って、広い公園の丘のようになっているところに歩いていく。
「A、シロツメクサ沢山あるよ。四つ葉のクローバー探そうよ」
A「ほんとだ!」
ぴょんぴょんと跳ねて嬉しそうにするAと一緒に四つ葉のクローバーを探す。
「早く見つけた方が勝ちね」
A「うん!」
鮮やかな緑の中を掻き分けて、四つ葉を探していると、ズボンのポケットが震えた。
着信だ。
「もしもし?」
『ルハナ?僕。ミンソクだよ』
「お、どうしたの?」
シウ『今何してるかなって』
「んー、今?」
A「ルハナ、ミンソク?」
「そ。」
A「もうクローバー見つけたからあげる」
ずいっと出されたAの手には小さな四つ葉のクローバーが握られている。
「早いね」
A「シャボン玉やってていい?」
「家から持ってきたの?」
A「そう!」
「Aまだ下手っぴじゃん」
いつも目一杯に息を吐き出すから、いくら手本を見せても上手くできた試しが一度もない。
A「練習するの!」
「いいよ、いってらっしゃい」
「あ、ごめん、ミンソク?」
シウ『Aちゃん?おい、随分大っきくなってるな』
ミンソクには、Aが一日で歳をとることも言ってある。最初はありえない、と言われたけど、馬鹿にしないのが彼のいいところだ。
「4歳くらいかな」
シウ『もうお昼食べた?たまには宿舎遊びに来いよ』
「Aも連れて行っていい?」
シウ『もちろん!カイが喜ぶよ』
「うん...あ!?Aどこいった!?」
シウ『おい』
さっきまでここでシャボン玉吹いてたのに。
どうしよう、可愛いから誘拐されちゃったのか?
焦る気持ちを抑えつつ、とりあえず走り出す。
「いた、」
木陰のベンチで、見知らぬ女の人にシャボン玉を教えてもらっていた。
A「あ!ルハナ!」
その声に顔を上げた女の人は、ふわっと花が咲いたように笑った。
なんて気品溢れる笑い方なんだろう。
「ごめん、ミンソク。遅くなるかも」
僕はそう言って電話を切った。
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かのか(プロフ) - おもしろい!スゴく良かった!2章読んできまーす! (2015年7月6日 8時) (レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - べっちゃんさん» べっちゃんさん、コメントありがとうございます!短編の時から、とは彼に恋しても無駄時代からですね(;゜0゜)大変です!そんな前から読んでくださっていたなんて、感謝感激雨あられです(≧∇≦)ありがとうございます!! (2014年7月18日 20時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - ヒロンさん» こんばんは!お返事遅くなってしまってごめんなさい(;_;)2章の方、ゆっくりですが更新しておりますので、よかったら訪れて下さいね( *`ω´) (2014年7月18日 20時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
べっちゃん(プロフ) - 第一章 完結おめでとうございます!短編のときから読ませて貰ってました!これからもファイティン! (2014年7月13日 12時) (レス) id: 1623f1ded7 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロン(プロフ) - ありがとうございます☆すっごく楽しみにしていますp(^-^)q更新頑張って下さいね♪ (2014年7月13日 9時) (レス) id: 0719d3023f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ようこ | 作成日時:2014年5月1日 17時