変化、受容、焦り、幸福感 ページ40
「あ、」
「あ、」
駅前でバッタリ会った。
メグミさん。
メグミ「久し振りだね」
「確かにしばらくぶりだね。ね、なんか変わった?もしかして髪切った?」
自転車から降りてメグミさんに歩幅を合わせながら、最近日が伸びて、朱く染まった夕刻の道路を並んで歩く。
メグミ「よくわかるね!気付いてくれない人もいるのに...」
「結構切ったよね?」
メグミ「7cmくらい切ったかなあ。あれ、ルハンくんも今帰り?」
「うん、今日は早く上がれたんだ」
「芸能人って大変だねえ」なんて独り言のように呟くメグミさんを見つめる。
なんか、違和感。
こんなに背が小さかったっけ。
Aは僕の肩あたりまで身長があるけど。
...僕、Aと比べてた?
やば、と危機感を感じて口を覆う。
頭の中、Aのことしかないんじゃないか。
想いをはっきりと自覚してから、それで止まると思っていた「オカシイ」感情の成長は、止まるどころかさらに勢いを増したように思える。
メグミ「ルハンくん?」
好きだって思った。
やっぱりAが好きなんだって思った。
いつから、とかは分からない。
毒のようにじわじわと僕を蝕んでいたこの感情は、
ふと気付いた時には、既に致死量だった。
「うん、なんか違うね」
メグミ「さっきから、変だよ?」
「んーん、こっちの話」
チチチ、と自転車が音をたてる。
一時期メグミさんに感じた気持ちは、「なんちゃって」だったみたいだ。
好きにならなきゃ、とかって思ってたのだろうか、僕は。
メグミ「そうだ、Aちゃん元気?」
「ん、元気だよ」
そう言うと、変わらぬ笑顔でメグミさんは笑った。
もう、何も感じないみたい。
変わったのは僕だ。僕の意識だ。
僕の意識が変わったから、Aは女になり僕は男になったのだ。
「じゃ、」
取り留めのない会話をして、帰路の途中で別れた。
マンションを見上げると、僕の部屋の明かりが点いているのが見えた。
いつものことなのに、それだけで嬉しくなって、早足でエレベーターに乗り込む。
「ただいまっ」
A「オッパ、おかえり!」
夕飯を作っている途中だったのか、菜箸を持って現れたAに笑みが零れる。
A「なんで笑ってるのー?あ、オッパもしかして何かいい事あったんだ?」
今日はおうどんだからね、というAの後に続いてリビングに入る。
「うん、あったよ」
そう呟いた声は、彼女に届いただろうか。
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かのか(プロフ) - おもしろい!スゴく良かった!2章読んできまーす! (2015年7月6日 8時) (レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - べっちゃんさん» べっちゃんさん、コメントありがとうございます!短編の時から、とは彼に恋しても無駄時代からですね(;゜0゜)大変です!そんな前から読んでくださっていたなんて、感謝感激雨あられです(≧∇≦)ありがとうございます!! (2014年7月18日 20時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - ヒロンさん» こんばんは!お返事遅くなってしまってごめんなさい(;_;)2章の方、ゆっくりですが更新しておりますので、よかったら訪れて下さいね( *`ω´) (2014年7月18日 20時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
べっちゃん(プロフ) - 第一章 完結おめでとうございます!短編のときから読ませて貰ってました!これからもファイティン! (2014年7月13日 12時) (レス) id: 1623f1ded7 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロン(プロフ) - ありがとうございます☆すっごく楽しみにしていますp(^-^)q更新頑張って下さいね♪ (2014年7月13日 9時) (レス) id: 0719d3023f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ようこ | 作成日時:2014年5月1日 17時