デートに向かない男 ページ37
可愛い靴屋さん、人気の服屋さん、小洒落たアクセサリー屋さんなど通りかかるほぼ全てのお店にAは惹かれて行った。
「はあ...」
いつもメンバー同士で行ってるから、目的なくブラブラする女の子の買い物に付き合うの、疲れる。
A「オッパ、このサンダル超可愛くない?」
「うん、可愛い可愛い」
A「...オッパ疲れてるよね、ごめん、私に付き合わせちゃって!
休む?それとも早いけどご飯に行く?」
僕のあまりにも粗雑な反応に、Aも察してくれたみたいだ。
「いや、僕最近体力落ちてるだけだから、大丈夫。そこら辺のベンチで休んでるから、好きに遊んでおいで?」
好意に甘えて、家族サービスで買い物に付き合わされるパパさんのように、噴水の近くのベンチで休憩する。
ふと目の前のジュエリーショップが気になった。ショーウィンドウの中でキラキラ、眩く輝くアクセサリー達。
この綺麗な石のネックレスを着けたら、彼女はどれほど美しくなるのか。
何気無くそんなことを考えて、僕は店の中に入った。ゆっくりと店内を回って、Aの真っ白なデコルテを思い出しながら、頭の中で全てのネックレスを着せていった。
深い青色のような、紫色のようなそれに視線を奪われる。角度によって色が違うみたい。
Aの黒髪に、白い肌に、紅い唇にそれはそれは似合うだろう。想像しては頬が緩むのを押さえた。
店を出て、僕はうきうきしながらAを探しに出た。
「あ」
二人組の男に絡まれているあれは、Aではないか。
いらっとした。
なんで見知らぬ男にニコニコ笑いかけてるの。
Aをかぐや姫のようだと思ったことがある。
素早く成長して、美しくなって、数多の男に言い寄られて、そして月に帰ってしまう罪深き姫...。
君はかぐや姫ではないから、月には帰らないよね?
何処かへ行ってしまいそうで、儚い。
「A、ご飯行こうか」
そう話しかけると、僕の綺麗な目に驚いたのか、二人組の男はそそくさと消えて行った。
A「おいしー!」
ほっぺたが落ちそう、だって。大げさ。
幸せそうにオムライスを頬張るAを見ると僕も幸せな気持ちになる。半熟のオムレツがとろとろ、口の中で解ける。
いつまでも、二人で、こうやって美味しい食事を挟んで、笑いあっていたい。
たまに出掛けて、買い物に付き合って、疲れて...
いつまでも、なんて願うということは、それがずっと続くことはないとわかっているからなのだろうか...
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かのか(プロフ) - おもしろい!スゴく良かった!2章読んできまーす! (2015年7月6日 8時) (レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - べっちゃんさん» べっちゃんさん、コメントありがとうございます!短編の時から、とは彼に恋しても無駄時代からですね(;゜0゜)大変です!そんな前から読んでくださっていたなんて、感謝感激雨あられです(≧∇≦)ありがとうございます!! (2014年7月18日 20時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - ヒロンさん» こんばんは!お返事遅くなってしまってごめんなさい(;_;)2章の方、ゆっくりですが更新しておりますので、よかったら訪れて下さいね( *`ω´) (2014年7月18日 20時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
べっちゃん(プロフ) - 第一章 完結おめでとうございます!短編のときから読ませて貰ってました!これからもファイティン! (2014年7月13日 12時) (レス) id: 1623f1ded7 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロン(プロフ) - ありがとうございます☆すっごく楽しみにしていますp(^-^)q更新頑張って下さいね♪ (2014年7月13日 9時) (レス) id: 0719d3023f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ようこ | 作成日時:2014年5月1日 17時