むすんでひらいて 2 ページ41
「うー、んー、ドラッグ」
「え？」
ドラッグ？それって危ないやつじゃない？
「うー、」
ぐーぱー
ぐーぱー
家政婦さんは両手を握って解いてを繰り返す。
必死に言葉を探しているみたいだ。
「風邪ドラッグ！」
「風邪薬？」
一度目が上を向いてから、うんうんと頷く。
垂れ目。
かわいい。
「はい！もう食べた？」
笑うと更に下がる。
かわいい！
「まだ」
「買う？ある？」
ベッドの横に正座して、キラキラした目で僕を見ている。
韓国語が通じているのが嬉しいみたいだ。
「ある。棚の中」
「たな？」
棚っていう単語を知らないっぽい。
右にこてんと首を傾げた。
「あー、引き出し？」
「ひきだし？」
左に、こてん
「家具の」
「かぐ？」
右に、もう一度こてん
ダメだ、単語がわからないみたい。
「...これだったら自分でとったほうが早いな」
よいしょ、と重たい腰を持ち上げてリビングへ移動する。
「...ごめんなさい...」
後ろから付いてきた家政婦さんは、眉を下げて申し訳なさそうにする。
「大丈夫だよ」
ごめんなさい、しゅーみんさん。
って、もう一度言った。
そっか、シウミンさんって言ってるつもりなのか。
しゅーみんさんって聞こえる。
でもこれってきっと韓国語とか以前の問題だよね。
「あの、なんて言うの？」
手を伸ばして、僕のおでこに手を当てる。
「ん？」
「ホット」
「あー、熱？」
「ねつ、」
「そう。熱」
おでこに当ててない方の手を、ぐーぱー
言葉を探すときにでる癖なのかな。
おそらく本人は無意識だろう。
「んー、うー」
頑張れ！
「熱、いくらですか？」
ちょっと違うけど言えた！
彼女もほっとしたみたい。
「さんじゅう、はち、てん、なな」
ゆっくり言ったけど、まだ数字は分からないらしい。
僕はおでこにぺったりくっついている彼女の手を剥がした。
「さん」
「じゅう」
「はち」
彼女の指を3本、10本、8本、と折って教えてやると、驚いた顔をした。
慌てて毛布を持ってきて、ソファに座る僕をぐるぐる巻きにする。
お腹を触って「ペコペコ？」と聞いてきた。
そんなに空いてないけど、風邪薬を飲むには空きっ腹はまずいので、ちょっと、とジェスチャーする。
うんうんと頷いて、ちょっと待ってて、寝ててもいいよ、と身振り手振りで教えてくれた。
エプロンの背中の紐を結び直して、キッチンに立つ彼女を、もこもこの毛布に包まれながら、ぼーっと見ることにした。
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ようこ(プロフ) - タキさん» ぎゃああタキさんだ！！いつもお話読ませて頂いております( *｀ω´)感激！すほちゃんとににちゃんは自分の中で問題作なので(笑)、褒められると書いてよかったなーと思えて嬉しいです（≧∇≦）コメントありがとうございました！また短編が浮かんだ時に更新いたします！ (2014年8月4日 13時) (
レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - ちゃんさん» せふんちゃん、年下のくせに生意気ですよね(笑サイン会の後の話も考えていたのですが、短編のままの方がよりリアルなのかなーと思って、未だに後回し中(;^_^A今更新中のものが落ち着いたら、またじっくり構成を練り直します！！ (2014年8月4日 13時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
タキ(プロフ) - 初めまして！短編三つ、いっきに読んでしまいました！もう、せふんちゃんリアルにありえてそうで。思わせぶりぃ泣。すほさんは心にうっとくる感じがたまらなく。にに！足フェチ！で殺されました←。こんなに素敵なフェチ話があるなんて！と感動です！有難うございます！ (2014年7月30日 21時) (レス) id: 4c29e81185 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃん - せふんちゃんとってもキュンとくるお話でした…！思わせぶりすぎ…！ぜひぜひ、サイン会後のお話も読みたいです(^^) (2014年7月15日 1時) (レス) id: e24e9a995d (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - あーのさん» はじめまして！セフンちゃんは年下男子にひたすら振り回されるお話です！笑いつか続編を書こうと思って居るのですが、今更新中のものが2つあって、後回しにし続けて今になってしまいました...(￣O￣;)コメント、ありがとうございましたヾ(＠⌒ー⌒＠)ノ (2014年7月13日 23時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ようこ
| 作成日時：2014年4月12日 21時
