こんなやつとは知らなんだ 11 ページ34
手を伸ばして、カイくんの厚い唇に触れた。
この柔らかい唇で、どんなキスをするの？
気持ちいい時はどんな顔をするの？
私は今年で25になる。
火遊びのような恋をするなら、本能的に動いてしまうような恋をするなら、今のうちだ。
私の賞味期限が切れてしまう前に、どうにかして。
「ん！」
唇を突き出して催促する。
ほら、早く教えて。君が一体どんなオトコなのか。
どうやら私は遂におかしくなってしまったようだ。
自分からねだるなんて初めて。
ニヤッと笑った彼が近付く。ふっと目を瞑ると、タイミングよく熱い唇が私のそれを覆った。
手のやり場に困って自分の部屋着を握りしめる。
「んぅ」
じっくりと味わうように、ゆっくりゆっくり動く彼。もう夢中だよ。虜だよ。
ぺろ、と下唇を舐めて、去って行った。その唇は赤く濡れていて、綺麗。うっとりしてしまう。
「もう一回、したい？」
もう、いい。
生徒とか先生とか、モラルとか、大人とか、どうでもいい。
「もっと...」
瞬きをする間も無く、再びキスが降ってくる。
私は彼に抱きつけない。彼も私のどこにも触れない。合わさっているのは唇だけ。
お互いの吐息が混ざる中、ときめきとは違う、ある種の胸の痛みが走った。
満たされてるのかな、足りないのかな。
この空虚な気持ちはどうしたらいい？
息継ぎの間に、カイくんが猫みたいなあくびをした。
クスッと笑みが溢れる。ムード、台無し。
「カイくん忙しいのに勉強頑張ってるって聞いたよ。ちゃんと寝てないんだったら、そんなにお勉強しなくていいよ」
芸能人なんて、体が資本なんだし。
「...」
急に無表情になるカイくん。
あれ、私変なこと言った？
「先生は、僕のこと好きなの？」
「え、」
なんでそんなにど直球なの。突然のことで咄嗟に言葉が出ない。答えなんて、ずっと前から決まってるのに。
否定も肯定もする間も与えず、彼は言葉を続けた。
「僕は、先生のこと、好きじゃないよ。脚しか好きじゃない」
カイくん、ひどいよ。
どうしてそんなこと言うの？
なんでキスしたの？
雨に濡れてまで私の部屋を訪れたのは、何故？
カイくんのこと、子供っぽくて可愛いなんて思うんじゃなかった。
大人の色気なんて感じなければよかった。
好きだなんて思わなければよかった。
カイくんの携帯に電話が入り、帰ってこいと言われたのだろう、振り返らずに部屋を出て行った。
残ったのは彼の温もりと、微かな香水の匂いだけ。
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ようこ(プロフ) - タキさん» ぎゃああタキさんだ！！いつもお話読ませて頂いております( *｀ω´)感激！すほちゃんとににちゃんは自分の中で問題作なので(笑)、褒められると書いてよかったなーと思えて嬉しいです（≧∇≦）コメントありがとうございました！また短編が浮かんだ時に更新いたします！ (2014年8月4日 13時) (
レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - ちゃんさん» せふんちゃん、年下のくせに生意気ですよね(笑サイン会の後の話も考えていたのですが、短編のままの方がよりリアルなのかなーと思って、未だに後回し中(;^_^A今更新中のものが落ち着いたら、またじっくり構成を練り直します！！ (2014年8月4日 13時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
タキ(プロフ) - 初めまして！短編三つ、いっきに読んでしまいました！もう、せふんちゃんリアルにありえてそうで。思わせぶりぃ泣。すほさんは心にうっとくる感じがたまらなく。にに！足フェチ！で殺されました←。こんなに素敵なフェチ話があるなんて！と感動です！有難うございます！ (2014年7月30日 21時) (レス) id: 4c29e81185 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃん - せふんちゃんとってもキュンとくるお話でした…！思わせぶりすぎ…！ぜひぜひ、サイン会後のお話も読みたいです(^^) (2014年7月15日 1時) (レス) id: e24e9a995d (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - あーのさん» はじめまして！セフンちゃんは年下男子にひたすら振り回されるお話です！笑いつか続編を書こうと思って居るのですが、今更新中のものが2つあって、後回しにし続けて今になってしまいました...(￣O￣;)コメント、ありがとうございましたヾ(＠⌒ー⌒＠)ノ (2014年7月13日 23時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ようこ
| 作成日時：2014年4月12日 21時
