セフンちゃん 12 ページ12
私には、彼ほど輝き眩しく思える人はいなかった。
あの後、元々第一志望としていた大学への合格を条件に、両親は調理師専門学校への入学を認めてくれた。
そのような条件がついたのは、娘の学力についての面目を保ちたい親の思いからだろう。
二人で出掛けた日から、私は乗る電車を変えた。
もちろん、セフンちゃんともっとお話したかった。
彼が笑う姿を近くで見たかった。
でも、あれ程の不毛な恋が、私の将来を妨げるのは明らかで、私は苦渋の決断をしなければいけなかった。
だって。
あれ以上一緒にいても辛いだけだったもの。
その時は...ずっと、こうやって想い続けるとは想像してなかったから。
初めて会ってから、一年半が過ぎた頃、彼はEXOの一員としてデビューをした。
テレビで見る彼は、私が全く知らないセフンちゃんで、髪の毛も茶色で、キラキラの衣装を身に纏い、キレのあるダンスを披露していた。
当たり前のようにファンになって、少ないお小遣いでアルバムも買って、夢を叶えたセフンちゃんを応援した。
あなたの姿を見ると、ときめくんだよ、今でも。
あんなに私のことを振り回して、好きにさせた彼は、芸能人となって遠く遠くさらに手の届きそうのないところへ行ってしまった。
「...ヌナ？」
だから。
今日は、絶対にサイン会に参加して、セフンちゃんを生で見ようと思った。
そして、腐らずに残ったこの想いを断ち切ろうと、心に決めていた。
顔を合わせるのは、今日が最後。
彼の声に胸がぎゅうっと締め付けられる。
「セフンちゃん...ヌナのこと、覚えてる？」
懐かしいの。
セフンちゃんが可愛くて、愛しくて仕方がなかったあの頃が。
黒のセーラー服を着て、柔く繋がれた手に胸を躍らせたあの時、私の世界にはあなただけが必要だった。
彼が、私を覚えてくれているならば、本望だ。
彼の中に、私が生きているという事だから。
時間が止まったみたい。
彼の目が、私を映す。
「もちろん！
前のサイン会にも来てくれましたよね？」
....今日が初めてだよ。
その言葉は胸にしまった。
覚えているのは私だけ、か。
あの瞬間を、大事に胸に閉じ込めていたのは、私だけ。
やっぱりあなたは私のことを、何とも思っていなかった。
数年越しの答え合わせが、やっと終わった。
「...そうです。よく覚えてますね」
私はそう言って笑みを浮かべた。不思議と涙は出なかった。
セフンちゃん、好きでした。
おわり
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ようこ(プロフ) - タキさん» ぎゃああタキさんだ！！いつもお話読ませて頂いております( *｀ω´)感激！すほちゃんとににちゃんは自分の中で問題作なので(笑)、褒められると書いてよかったなーと思えて嬉しいです（≧∇≦）コメントありがとうございました！また短編が浮かんだ時に更新いたします！ (2014年8月4日 13時) (
レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - ちゃんさん» せふんちゃん、年下のくせに生意気ですよね(笑サイン会の後の話も考えていたのですが、短編のままの方がよりリアルなのかなーと思って、未だに後回し中(;^_^A今更新中のものが落ち着いたら、またじっくり構成を練り直します！！ (2014年8月4日 13時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
タキ(プロフ) - 初めまして！短編三つ、いっきに読んでしまいました！もう、せふんちゃんリアルにありえてそうで。思わせぶりぃ泣。すほさんは心にうっとくる感じがたまらなく。にに！足フェチ！で殺されました←。こんなに素敵なフェチ話があるなんて！と感動です！有難うございます！ (2014年7月30日 21時) (レス) id: 4c29e81185 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃん - せふんちゃんとってもキュンとくるお話でした…！思わせぶりすぎ…！ぜひぜひ、サイン会後のお話も読みたいです(^^) (2014年7月15日 1時) (レス) id: e24e9a995d (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - あーのさん» はじめまして！セフンちゃんは年下男子にひたすら振り回されるお話です！笑いつか続編を書こうと思って居るのですが、今更新中のものが2つあって、後回しにし続けて今になってしまいました...(￣O￣;)コメント、ありがとうございましたヾ(＠⌒ー⌒＠)ノ (2014年7月13日 23時) (レス) id: 35ef913cfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ようこ
| 作成日時：2014年4月12日 21時
