空白の時間14 チェンside ページ43
『チェンさん！ちゃんと会えました！』
携帯の画面に踊るその文字。
ジウちゃんからのメッセージだ。写真見せて、と打つと、間髪なしに、近づいて来て、照れた顔で写るレンの姿が送られてきた。
最後の写真は、手でレンズを隠されたのか真っ暗だ。
笑ってる。
君が笑ってるよ。
たった一月しか経ってないのに、随分久しぶりのようだ。
髪はまだあまり伸びてないね。
ソウルは寒いよ。でも、そっちの方がもっと寒いだろう？
風邪ひいてない？ヒョンは心配だよ。
言いたいことが一杯あるのに、僕の指は文字が打てず、送られてきた画像を、ひたすら右に左に捲っては、泣いているような笑っているような、どちらとも言えない感情を持て余していた。
不思議なことに、ミヨンさんは退職したあの日に、ジウちゃんにもレンの住所を渡していたのに、僕等は二人とも、ミヨンさんと離れる悲しみに丸一日浸ってから、翌日になって教えあったのだった。
僕は年末にかけて中国と韓国を行き来するスケジュールだから、当分は会いに行けそうにないや。
「ジウちゃんの写真は無いの？」
ジウ「欲しいんですか？じゃあ、はい」
ポスっと音をたてて表示された画像は、ペディキュアの施されていない足だった。
2ヶ月後。
僕はレンのお祖母さんの家の前にいた。やっとの思いで3日間のお休みがもらえたのだ。
『あれぇ？Aちゃんならアメリカにおるけど？』
そう喋る元気そうなお祖母さんは、レンとはあまり似ておらず、小さかった。
そっか、レンじゃなくてAちゃんなんだよな、もう。
いや、ずっと昔からそうだったな。
依然として雪が猛威をふるい、この村から出る交通手段は全て使い物にならない。
お祖母さんのご好意に甘えて、泊めていただいた。
上手く電波の届かない携帯で飛行機を予約。今の住所も教えてもらって、明日の訪問に備えた。
アメリカは広かった。
急ぎでとった飛行機がニューヨークから離れたところに着陸。そこからずっと座りっぱなしだ。お尻が麻痺しそう。
拙い英語でタクシーの運転手さんにお願いして、レンの住所まで連れて行ってもらう。
写真で見ても、実感が湧かなかったよ。
もうすぐ、本物の君に会えるんだね。
髪は伸びた？太った？痩せた？
また君に会えるなら、僕はどうなってもよかった。
でも今は、君と一緒に居るためなら、どうやってでも生きてやると思ってるよ。
震える指で、僕は。
見慣れぬインターホンを、押したのだった。
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かのか(プロフ) - んー。面白かった！学生さんなのに、凄いしっかり書けてますねぇ。私は作文さえも三行書いて、詰まっちゃうので、感心。又他の作品も読んでみますね〜！ (2015年7月7日 14時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
いーさ。(プロフ) - はじめまして! 女だとばれて脱退という流れは男装してEXOに加入スタイルのお話で初めて出会いました。特に空白の時間は泣きましたー(笑) 素敵な作品に出会えて幸せです! これからも頑張ってください!! (2015年6月21日 21時) (レス) id: f44b8bb220 (このIDを非表示/違反報告)
ユネ(プロフ) - この作品に出会えてよかったです！本当に感動しました！ジョンデに女の子？って聞かれてレンとジョンデの隠れた恋愛みたいなの起こればいいな〜なんて思ってます（笑）これからも応援しています！ (2015年3月27日 14時) (レス) id: 450bd2b6d7 (このIDを非表示/違反報告)
HanAe - とても素晴らしい作品でした！あぁ、ジョンデさんすごく良い役割でした！(ただのジョンデペン)それと主人公ちゃんの本当の誕生日が私と同じだったので、オォ！ってなりました！笑 (2015年2月1日 3時) (レス) id: aed70721da (このIDを非表示/違反報告)
海老(プロフ) - ほんとにようこさんの作品全部大好きです。涙が止まらなくて胸がギューってします。笑 できればこれからも小説を書きつづけて欲しいです… (2015年1月10日 0時) (レス) id: ca5beaaf03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ようこ
| 作成日時：2014年3月28日 19時
