71 ミヨンside ページ21
『レンがいなくなった！！』
マネージャーからそう連絡をもらった。
彼が目を離した隙に、レンは宿舎を追い出され、慌てて扉を開けると既にもぬけの殻だったそうだ。
私の家にも来ていない。
じゃあどこに行ったの？
両親が海外にいるあの子の、頼れる唯一の肉親である祖母はソウルから遠く離れた田舎に住んでいるではないか。
事務所しか心当たりがなくて、急いで出掛けた。
タクシーの中でスマン社長に電話をかける。
スマン「そうか...思ったより早かったな...とりあえず事務所に来てくれ。話し合おう」
事務所に到着すると、一つの部屋だけ電気がついていて不審に思った。
まさか、と思い覗くと、レンが一人踊っていたのだ。
涙を流しながら。
表情は一切崩さず、凛とした姿で踊る彼女は、美しかった。
この世に存在する誰よりも、美しかった。
声をかけることが出来なかった。誰も踏み込んではいけない、神聖な場所のようだった。
社長室に行くと、スマン社長が窓の外を見て佇んでいた。
スマン「12人全員知ってしまったようだね。
これを見てくれないか」
社長が差し出した1枚の紙には、マンションから手を繋いで出てくる私とレンの姿があった。
『EXOレン、スタッフと熱愛中？』
そう大きく見出しが書いてある。
あの日だ。病院から帰ってくるのが遅くて、走ってショーケースでのソロダンスの練習に向かったあの日。
「なんですか、これ...」
スマン「それだけではない。ここを見てくれ」
『EXOレンにそっくりな謎の長身女性』
紙面の端の小さな四角い写真に写っているのは、ウィッグを被って女性の格好をしたレンだった。
スマン「この記事は雑誌に載らないように潰してある。
だが、メンバーに知られたとなると、よそよそしい態度を取り合って不仲説も出るだろう。
そうなるとマスコミがレンの事を探り始める。女だと世間に知られたら、EXOだけでなく、このSMエンタ自体が甚大な被害を受けるだろう」
「...では、どうするおつもりですか？」
スマン「活動からフェードアウトして、早急に辞めてもらう」
「酷すぎます！！あの子がどんな思いで今までっ...」
スマン「いつかはバレる事だった」
「じゃあなぜ、レンをEXOでデビューさせたんですか！？あの子に夢を持たせたんですか？」
スマン「話題作りの他に何が？」
絶望した。
大人の勝手な都合が、あの子の人生をめちゃくちゃにしたんだ。
私はどうすることも出来ぬまま、拳を握って悲しみに耐えていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 948人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「EXO」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かのか(プロフ) - んー。面白かった！学生さんなのに、凄いしっかり書けてますねぇ。私は作文さえも三行書いて、詰まっちゃうので、感心。又他の作品も読んでみますね〜！ (2015年7月7日 14時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
いーさ。(プロフ) - はじめまして! 女だとばれて脱退という流れは男装してEXOに加入スタイルのお話で初めて出会いました。特に空白の時間は泣きましたー(笑) 素敵な作品に出会えて幸せです! これからも頑張ってください!! (2015年6月21日 21時) (レス) id: f44b8bb220 (このIDを非表示/違反報告)
ユネ(プロフ) - この作品に出会えてよかったです！本当に感動しました！ジョンデに女の子？って聞かれてレンとジョンデの隠れた恋愛みたいなの起こればいいな〜なんて思ってます（笑）これからも応援しています！ (2015年3月27日 14時) (レス) id: 450bd2b6d7 (このIDを非表示/違反報告)
HanAe - とても素晴らしい作品でした！あぁ、ジョンデさんすごく良い役割でした！(ただのジョンデペン)それと主人公ちゃんの本当の誕生日が私と同じだったので、オォ！ってなりました！笑 (2015年2月1日 3時) (レス) id: aed70721da (このIDを非表示/違反報告)
海老(プロフ) - ほんとにようこさんの作品全部大好きです。涙が止まらなくて胸がギューってします。笑 できればこれからも小説を書きつづけて欲しいです… (2015年1月10日 0時) (レス) id: ca5beaaf03 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ようこ
| 作成日時：2014年3月28日 19時
