♯67 止まらない涙とその行方 ページ18
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「お……大ちゃん先輩！」
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智「…ん？」
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落ち着いて優しい笑顔のまま私の目を見て私の話しを聞いてくれる…
それだけで…私の醜い心が少しずつ、少しずつ溶けていく…
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「私……っ………
…先輩に…嘘つきました……」
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私が泣いてる理由を察してか、周りに聞こえないように
先輩は私の手を引いて近くの空き教室に入った。
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「わ…私……カ……カズの傍にいられたらいい…って…
恋人になれなくても…カズが笑ってくれるならいいって…
そう……思ってたのに……っ…」
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大ちゃん先輩は 宥めるように背中をさすってくれた。
智「うん……それで？」
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「…でも……分かってても……
カズの好きなヒトを見ると苦しくなって……
嫌な気持ちが溢れてきて……そんな自分が嫌で……
カズに…ばれてるんじゃないかっ…って…っ…」
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智「……辛かったね…」
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泣きじゃくる私に大ちゃん先輩はさすっていた背中から
そっと手を離し、
少し離れた机に座り、両手を広げて言った。
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智「おいで」
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大ちゃん先輩の腕は男らしいのに優しくて…
あったかくて…
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授業開始のチャイムが鳴るまで
私は大ちゃん先輩の腕の中でいっぱい泣いた。
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誰にも拾われないと思っていた可哀相な涙は、
大ちゃん先輩のしわしわなシャツに拾われて消えていった。
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私は泣きながら、
大ちゃん先輩にどんなお礼をしよう…
エビフライ作ったら、また喜んでくれるかな…
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…そんな事ばかり考えていた。
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