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深澤さんに言われて思い返せば。

私がずっとピリピリしていただけで、周りはいつも話しかけようとしてくれていたかもしれない。

私が感じていた冷たい視線の正体は、私自身が自分に対して感じていた嫌悪感だったのかもしれない。






深澤「しんどい時って視野が狭くなっちゃうからねぇ。Aちゃんの部署の人みんな心配してるし、頼っていいんだよ。」

「……はい。」

深澤「真面目なAちゃんなら、絶対大丈夫。大丈夫だから。」



深澤さんが発したそれは、根拠のない「大丈夫」だったかもしれない。

だけど、その時の私にとっては、その「大丈夫」という言葉が何よりも必要だった。

不安と焦りでぐらついた気持ちと狭くなった視野を、たった一言で解放してしまうくらい。





深澤「まずは美味しいもの食べて、ちゃんと寝ること!……ね?」

「っ、……はい。」

深澤「じゃあ、温かいうちに食べちゃおっか。」




そこから自分のスプーンで食べたデミグラスソースのたっぷりかかったオムライスは、涙でちょっぴりしょっぱかった。

ふわふわの卵は、深澤さんのやさしさみたいでトゲトゲしていた心を溶かしてくれるようだった。



昼休みが終わるからって慌てて食べる私に、深澤さんは「ふはは。かあいいね。」なんて心臓に悪いことをサラッと言ってのけて見守ってくれていた。






久しぶりに食べた温かいご飯と深澤さんのやさしさを、今も昨日のことのように覚えている。






そこから、だった。



翌日から深澤さんの姿を見つけると、目で追うようになった。

目が合うと、ふわっと笑ってくれて。

ペコッと遠慮がちに頭を下げた私に、軽快に駆け寄ってきて「ちゃんと寝てるかぁ?」って頭をグシャグシャに撫で回してきて。


彼は営業から帰ってくると、部署が違うのにわざわざ私のいる広報部までやってきてお菓子を分けてくれるようになった。








いつの間にか、深澤さんに会うのが楽しみになった。

深澤さんにいい報告をしたくて、仕事を頑張ろうって思った。

苦手な飲み会も深澤さんがいるならって参加するようになったら、部署内外の人とも少し仲良くなれた。










___何も知らないお気楽な私の世界は、キラキラしていった。


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設定タグ:snowman , 目黒蓮 , 深澤辰哉   
作品ジャンル:恋愛
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たぬ(プロフ) - 塩さん» 胸が暖かくなるやさしいコメントをありがとうございます。まだまだ上手く書けないですが、これからも楽しんで頂けるようがんばります!読んでくださりありがとうございます。 (2月23日 20時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
- ふわふわしてて可愛らしくて、綺麗な文でつくられているのでとても好きな作品になっています𓈒𓏸これからの展開も楽しみにしています…! (2月21日 22時) (レス) id: 2759139232 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 翡翠さん» 続きを楽しみにして下さり、コメントもありがとうございます!泣いて下さるなんて、申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちがせめぎ合っています。笑 続きも楽しめますように。 (2月13日 2時) (レス) @page40 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 切なすぎて泣きながら読みました笑 続きが楽しみです (2月11日 22時) (レス) id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - もぐさん» ご感想ありがとうございます。この作品が面白いのか私自身分からなくなってきていたのでそう言って頂けるととても嬉しいです。素敵な応援をありがとうございます。更新頑張れそうです…! (2023年2月24日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たぬ | 作成日時:2022年11月27日 15時

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