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「……はぁ、」
飲み過ぎて気持ち悪くなるなんて、許されるのは学生までだろうに。
情けないなぁ。
鏡の前でため息がこぼれた。ひどい顔……。
ハンカチで手を拭きながら、まだ残る気持ち悪さにこの後どうしよう、もう帰ってしまおうかな、なんて考える。
あー、席に戻ってまた深澤さんを見るの、やだなぁ。
あんなに会いたかったのに。
少しだけ、風に当たってから戻ろうかな。
お手洗いを出て、みんながいる部屋とは反対方向の出口に向かって、歩き出したその時。
「わっ、」
グイッと掴まれ進行方向とは逆に引き寄せられた、右手首。
そのままぶつかったのは、厚い胸板。
深澤さんと違って香水とかじゃない。
柔らかい柔軟剤のこの香りを、私は覚えている。
「Aさん」
焦ったように私の名前を呼ぶその人の声を、何故だかかわいいと思ってしまう私はどうかしている。
……きっと、アルコールのせい、だ。
「めぐろ、くん……」
目黒「……大丈夫ですか？」
大胆な行動とは裏腹に、探るようにこちらに問いかける目黒くんには、今までみたいな勢いがない。
そういえば最近会わなかったもんね。
何かあったのかな。
「あ、あぁ、うん。ちょっと吐いたら楽になったよ。もう、大丈夫。」
目黒「……そっち、会場とは逆ですよ。」
「え？……あ、うん、……ちょっと夜風にでも当たろうかな、って。」
目黒「……」
なんとなく戻りたくない理由を目黒くんにいうのは違うかなって誤魔化した私のことを、目黒くんは無言で見つめる。
やめてよ、その何でもわかるみたいな目。
こんな弱虫な私に、目黒くんみたいなキラキラした人は手に負えない。
先輩なのに、余裕でかわすことすらできないのだから。
＿＿＿だけど目黒くんは、いつだって私を逃がしてはくれない。
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たぬ(プロフ) - 塩さん» 胸が暖かくなるやさしいコメントをありがとうございます。まだまだ上手く書けないですが、これからも楽しんで頂けるようがんばります！読んでくださりありがとうございます。 (2月23日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
塩 - ふわふわしてて可愛らしくて、綺麗な文でつくられているのでとても好きな作品になっています𓈒𓏸これからの展開も楽しみにしています…！ (2月21日 22時) (レス) id: 2759139232 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 翡翠さん» 続きを楽しみにして下さり、コメントもありがとうございます！泣いて下さるなんて、申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちがせめぎ合っています。笑 続きも楽しめますように。 (2月13日 2時) (レス) @page40 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 切なすぎて泣きながら読みました笑 続きが楽しみです (2月11日 22時) (レス) id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - もぐさん» ご感想ありがとうございます。この作品が面白いのか私自身分からなくなってきていたのでそう言って頂けるととても嬉しいです。素敵な応援をありがとうございます。更新頑張れそうです…！ (2023年2月24日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年11月27日 15時
